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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年2月号】

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年2月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!

日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。

 

 

■シンプルなゲーム「跳一跳」と「旅かえる」が微信でシェアされ大ヒット

 

旅かえるが人気でニセモノまで出ていると伝える香港メディア

「旅かえる」が人気でニセモノまで出ていると伝える香港メディア

 

 年初に2つのゲームが人気となりSNSで話題となった。ひとつはインスタントメッセンジャー「微信(ウィーチャット)」上で動かす子アプリ(微信小程序)の「跳一跳」だ。主人公のキャラクターが、その前方に現れるブロックに乗るべくジャンプして進んでいくというシンプルなゲームだ。年末に登場し、遊ばれ続けている。手をかけずに微信で繋がってる人同士の最高点を見せ合うことができ、競争ができる。

 

 もうひとつが「ねこあつめ」で知られる日本のhit-pointがリリースした「旅かえる」というアプリだ。中国向けにはリリースしなかったものの、微信で一気に広まった。これは旅好きという設定のかえるに、日本の雑貨的なアイテムを与えて旅をさせると、数時間後に帰ってきて写真を持ち帰るというもの。かつてないほど中国で日本の雑貨や日本食や日本旅行に関心がもたれているなかで、その世界観が評価されたというのが理由のひとつだ。こちらはアプリをダウンロードして遊ぶ。その人気からニセモノや非公認の中国語化したアプリやグッズが登場した。

 

 「跳一跳」と「旅かえる」で共通するのは普段からゲームに馴染みのない人でもその誰でもプレイできる簡単さと、各人のSNSでの共有できる話題性だ。子育て家庭の母親もスマートフォンに入れて遊ぶことに加え、跳一跳はアプリをインストールする必要がないことから、子供が今も親の目を盗んで遊ぶ光景がしばしばみられる。

 

 

■インターネット利用者は7億7200万人に

 

スマートフォンや携帯電話でのインターネット利用者の推移

スマートフォンや携帯電話でのインターネット利用者の推移

 

 CNNIC(中国インターネットセンター)は、中国のインターネット利用者は2017年末の段階で7億7200万人と発表した。普及率は55.8%で、2016年に比べ4074万人増え、普及率では2.6ポイント上昇した。スマートフォンや携帯電話によるインターネットユーザーは7億5300万人で、前年比で5734万人増加した。スマートフォンがないころからインターネットが一定の普及を見せていたが、現在はインターネットユーザーのほぼすべてがスマートフォンからも利用している。

 

 各種サービス利用者は、「微信」や「QQ」などのインスタントメッセンジャー利用者が7億2000万人、「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tmall)」や「京東(JD、ジンドン)」などのオンラインショッピング利用者が5億3300万人、「支付宝(アリペイ)」や「微信支付(ウィーチャットペイ)」などを活用したスマートフォンでの決済利用者が5億2700万人、「Mobike(モバイク)」や「ofo」などのシェアサイクル利用者が2億2100万人などとなった。

 

 CNNICは中国のインターネット黎明期よりインターネット統計を発表し続けていて、ここ10年以上は1月と7月に統計を発表している。

 

 

■著名IT系起業家が自殺

 

 1980年台生まれの起業家として有名だった茅侃侃氏が35歳という若さで自殺した。「創業少年(企業少年)」ないしは、「京城四少(北京の若手起業家のひとり)」とも呼ばれた。茅氏はゲーム事業を立ち上げたのち、医療向けアプリや、道路状況がわかるアプリを開発して知られるようになった。2013年にはEスポーツの企業の「万家電競」の代表となったが、その後一気に巨額の負債を抱え自殺した。

 

 インターネット業界は今最も中国で花形の産業ではあるが、一方で有名な起業家の自殺により、明の部分だけではなく暗の部分がメディアやSNSによって討論される契機となった。

 

 

■ミニブログ「微博(Weibo)」に行政指導が入り、ランキング機能が一時停止

 

画像:微博は日本の話題も豊富。日本の不動産情報も

微博は日本の話題も豊富。日本の不動産情報も

 ツイッターを似せたところからはじまり、機能を拡張したミニブログ「微博(Weibo)」のランキング「微博熱捜」が行政指導により1月27日から2月3日まで停止し、見えなくなった。

 

 これは1月27日に国家互聯網信息弁公室(国家インターネット情報オフィス)が北京市互聯網信息弁公室を通じて、新浪微博に対し、違法ないしはルールにそぐわない投稿の検閲が不十分で、不良情報が拡散していると注意勧告した結果によるもの。翌28日には、微博がこれに対し「一部の企業や業者が注目やアクセスを稼ぐために、組織的なアクセス稼ぎ行為を行っていた。熱捜の4割がこの手の異常なアクセス数だった。管理と罰則を強化する」とコメントを発表している。

 

 アプリランキングやフォロワー数や評価などを外部業者によって操作することは常態化していて、発表をそのまま受け取るなら、微博の不正なランキング操作防止で動いた結果となる。

 

 

 

■フードデリバリーの管理規定が施行

 

フードデリバリーのドライバー

フードデリバリーのドライバー

 

 今年の1月1日より中国で広く普及するフードデリバリーサービスを対象とした規定「網絡餐飲服務食品安全監督管理方法」が施行された。この規定はフードデリバリーによる食事の提供者は、「食品経営許可証を取得したリアル店舗が必要で、その経営範囲を超えてはらない」「無毒清潔な容器や食器を利用し、食品を汚染せずに送り届けること」といったことや、食品安全の責任がフードデリバリー加入者(店舗)にあるといったことが書かれている。

 

 同規定は2017年11月に発布されたが、規定発布前は(それが全てではなく健全なサービスを提供する店もあるものの)雑居ビルの一室の汚れた環境でフードデリバリーサービス向けの弁当を作り販売する実態が、中国各地のメディアによりたびたび紹介されていた。この施行後、やはり中国各地の一部のメディアが現地を視察する記事を出していたが、「若干規定違反の店もあるが、概ね規定を守っている」とのこと。

 

 フードデリバリーといえば「餓了me(eleme)」「百度外売」「美団外売」が有名で、大都市はもちろんのこと中小都市でもデリバリーするスタジャンを着た配達員をみかけることがある。施行後には「餓了me(eleme)」「百度外売」は安全安心をうたった食品パッケージを参加店舗に配布しはじめた一方、「美団外売」は、食品の材料表示を開始しはじめるなど、単に規定を守るだけでなくそれで客寄せを行う動きを見せている。

 

 

■百度、AI研究体制を更に強化

 

 AI企業を目指す百度(バイドゥ)の百度研究院(Baidu Research)が新たに実験室(ラボラトリー)を設立することを発表した。百度といえば検索だが、スマートフォンのアプリからの利用による検索の重要性の低下が中国でも起きている中、蓄積された検索データをも活用したAI事業の強化を行っている。

 

 今回発表されたのは、商業智能実験室(Business Intelligence Lab、BIL)と機器人与自動駕駛実験室(Robotics and Autonomous Driving Lab、RAL)の2つ。また世界的な人工知能の大家であるKenneth Ward Church氏などを招き入れたとも発表した。従来からある深度学習実験室(Institute of Deep Learning、IDL)、大数据実験室(Baidu Big Data Lab、BDL)、シリコンバレー人工智能実験室(Silicon Valley AI Lab、SVAIL)に加えて5つとなる。

 

 

■3年内に河南省の一定規模以上の病院で遠隔医療の実現へ

 

 内陸の河南省で、今年から3年間をかけて、一定規模以上の病院で遠隔医療をはじめとしたスマート医療を導入する。これは政府が提唱した、すべての業界にインターネットの恩恵をもたらす「互聯網+(インターネットプラス)」の中の、医療サービス行動計画に基づいたもの。他省でもスマート医療の導入が進むと思われる。

 

 具体的には、一定規模以上の病院全てに遠隔医療を導入するほか、患者情報や病例情報を共有する。さらにスマート病院を建設し、ウェアラブルデバイスや医療用画像識別機器など、スマートデバイスを積極的に導入していくという。

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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