中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2019年11月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースを
まとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。
■11月1日、5G商用サービスがスタート
チャイナモバイルの5Gプラン
5Gの商用サービスが正式にスタートした。チャイナモバイル(中国移動)、チャイナユニコム(中国聯通)、チャイナテレコム(中国電信)の三大キャリアそれぞれがスタートした。
いずれのキャリアも全プランにおいて一定以上利用すると速度が低下する。最も安いプランで、月128元(約2000円)から利用が可能で、いずれのキャリアもこの金額で500Mbpsの速度による30GBの高速データ通信と、500分(チャイナユニコム、チャイナテレコム)、200分(チャイナモバイル)の音声通話がセットになっている。さらにチャイナモバイルとチャイナユニコムについては、月300元弱(4500円)以上のプランで、さらに高速な1GBbpsでの通信が利用可能となり、最も高い599元(約9000円)では300GBのデータ通信量まで高速通信が利用可能となる。
日本でのデータ通信プランは月30GB程度のプランが多く、値段は中国の30GBプランより高い。つまりは中国の5Gプランは、日本人からみれば安く感じるだろう。
■ブロックチェーン産業、加速へ
中国のブロックチェーン産業が今後加速するきっかけが続々と登場した。
10月24日、習近平国家主席がブロックチェーンに力を入れよと号令をかけて以降、26日には暗号のルールについて定めた「暗号法(中華人民共和国密碼法)」を可決。さらに28日には中央銀行がブロックチェーンを活用したデジタル人民元・デジタル通貨こと「DCEP」を発行すると発表した。Facebookによる仮想通貨「Libra」に対するものと言われている。
まさに矢継ぎ早の発表だった。これにより、ブロックチェーンは、特に中国中央政府・地方政府などで導入が一気に進んでいくと予想されている。
権威的なメディアの人民日報一面でブロックチェーン強化が報じられた
■3万人にVPNサービスを販売していた男が逮捕
浙江省杭州市でおよそ3万人に未許可のVPNサービスを販売していた男を地元警察が逮捕した。男は貿易サービスやゲームサービスの名でVPNサービスを販売し、120万元の収入を得ていた。気になる逮捕の根拠となる法律だが、報道によればコンピュータのシステムを違法にコントロールする「工具罪」で逮捕したとのこと。
■小米などに対し、スマートテレビでの起動時の広告中止を要求
中国江蘇省の消費者センターが、シャオミ(小米)、ハイセンス(海信)、スカイワース(創維)、ハイアール、シャープなどテレビメーカーに対し、起動時に長時間の広告を表示する現状をよくないとして、広告を表示しない選択肢を消費者に与えるべきと通知してネットで話題になった。この報道を受けてネット上で各社テレビの起動時の広告表示時間をチェックしたところ、短いもので15秒、長いもので30秒だった。途中で広告をスキップする製品もあるが、まったくない機種はなかった。
これについてメーカーは何かアクションは起こしていないが、スマートテレビなので起動に時間がかかることと、本体製品自体の儲けが薄利なので広告で少しでも稼ぎたいので、改善には前向きではないのでないかと分析されている。
■浙江省の小学校で、監視用帽子を着用し物議に
浙江省の小学校でヘッドリングをつける小学生
浙江省金華市の小学校で、生徒にスマートリングを頭に着用させたとしたレポートが悪い意味で話題となった。
頭に巻くスマートリングは、脳波を測定できるもので、各学生の注意力や集中力を測定できるというもの。スマートリングの値段は3000元(4万5000円)だが寄贈されたものを導入した。測った結果は、他の学校の連絡同様、WeChat(微信)で各家庭に結果が送られるとしている。ネット論壇では、授業中ずっと機械にチェックされるのか、学生に自由はないのか、と悪評だった。
■ネットで電子タバコ販売を禁止に
政府タバコ専売局らが、電子タバコ販売中止を申請した。具体的には国家市場監督管理総局と国家煙草専売局が、「関于進一歩保護未成年人免受電子煙侵害的通告」を発表した。これは18歳未満の未成年が購入するのを防ぐためだ。
この発表のあと、一旦はECサイトのピンドゥオドゥオから電子タバコが消えたものの、タオバオや京東は販売を継続し、ピンドゥオドゥオも販売を復活した。ぎりぎりまで売ろうとしたのだろう。だが11月11日の単身の日を前に著名なECサイトでは見なくなった。
リアルショップの販売が禁止されたわけではないが、主に電子タバコはオンラインで売られていた。オンラインで売れなくなるとなれば、大きな影響は避けられない。電子タバコ関連企業の起業ラッシュは今年に入って顕著にあり、ブランドは1500ほどあったとか。しかし逆境となった今後は倒産ラッシュとなっていくと予想されている。
■中国で人気の米NBAチーム幹部が香港問題支持のコメントでネット激震
中国で大人気の米国プロバスケットボール「NBA」のチームのひとつ「ロケッツ」の幹部が香港デモを支持したことで、ネットでいわゆる大炎上が起きた。ロケッツだけでなく、NBA全体に波及し、直後のイベントが中止に、またコンテンツに力を入れるテンセント(騰訊)や国営中央テレビ「CCTV(中国中央電視台)」といったメディア提携もいったんなくなった。が、NBAは人気のコンテンツであることから、のちにテンセントがNBAのコンテンツを再配信することとなった。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
Weibo公式の中国向け広告コンテンツ拡散支援サービス「WEIQ(ウェイキュー)」は
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