中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2019年9月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースを
まとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。
■ネット利用者は8億5400万人
最もオフィシャルなインターネット統計である「第44次中国互聯網絡発展状況統計報告」がCNNICから発表された。中国のインターネット利用者は8億5400万人で、利用率は61.2%となった。利用者の伸びは数年前より鈍化している。
各サービスの利用者数は、オンラインショッピングは7億5900万人、キャッシュレス(モバイル)は6億2100万人、旅行予約は4億1800万人、フードデリバリー(モバイル)は4億1700万人、ライブストリーミングは4億3300万人などとなっている。
■BAT時代の終焉、百度は6位に
中国インターネットを代表するBATの一角で、検索サービスのバイドゥ(百度)の時価総額が中国のネット企業で6位まで転落した。6位になった当時(8月中旬)の時価総額は331億ドルで、アリババ(阿里巴巴)の4219億ドル、テンセント(騰訊)の4140億ドルと10倍以上の差が開いている。3位以下は、アリババとテンセントからは大きく差が開き、ECサイトのジンドン(京東)の497億ドル、オンラインチケットやデリバリーなどのO2Oのメイトゥアンディエンピン(美団点評)の470億ドル、コンテンツやポータルサイトなどのネットイース(網易)の335億ドル、そしてバイドゥと続いた。
インターネットユーザーのスマートフォンへのシフトが一気に進む中、バイドゥは対応しきれず、人工知能や無人運転車についても同社の顔といえる製品が出ない状態だ。BATというと時代遅れ感があるので、中国を紹介する人や、勉強する人は気をつけたい。
■アリババ、越境ECで圧倒的シェアに
中国越境ECサイトは、ネットイースの「コアラ(考拉)」と、アリババの「天猫国際」が特に高いシェアで競っていたが、アリババはネットイースからコアラを20億ドルで買収し、アリババの一強状態となった。コアラ(考拉)は、「考拉海購」と名前を変え、サービスを継続する。iiMediaの調査レポートでは、2018年の越境ECサービスシェアは、ネットースコアラが27.1%、天猫国際が24.0%。中国最大の11月11日のECセール「双十一」で、「考拉海購」と「天猫国際」の2サイトを利用して越境ECを盛り上げようとsている。
さらにアリババはネットイースの音楽サービス「雲音楽」に7億元の出資をした。アリババはこの出資で、テンセントが先を行くコンテンツ配信を強化する。
■シャオミ、OPPO、vivoが連携。ファーウェイとは距離
米国からの圧力を受け、「オープンソース部分を除くAndroid OSの使用の禁止」を宣告されたファーウェイが、生き残りをかけて独自OS「鴻蒙」を発表した。まずは同OSを搭載したスマートテレビを発売したが、今後同OS搭載のスマートフォンが出てくるだろう。
世界のスマートフォンでは、ファーウェイに加えて、シャオミ、OPPO、vivo、それにサムスンのシェアが高い。ファーウェイを除いた中国企業のシャオミ、OPPO、vivoの3社が、ファイル転送で3社間の垣根をとりはらうことを目的とした「互伝聯盟」を発表した。今後3社が手を取り合うことが増えていくかもしれない。
■フードデリバリーで不満なら1秒返金のサービス開始
オーダーを待つ餓了麼のドライバー(奥は美団)
青いスタジャンの配達ドライバーで知られる、アリババのフードデリバリーの餓了麼 (ele.me)が、「満意宝(極速退PLUS)」というサービスをリリースした。これはアリババの上級会員である阿里88Vipユーザーが同サービスを利用し、食事に不満だった場合は食堂・レストランを介さないで、1秒で返金するというサービス。満意宝は45都市の94ブランドでの対応からサービスがスタートしたが、できるだけ早く数万店舗の規模で対応店舗を増やしていきたいとしている。
■Steam、中国でサービス開始
パソコン向けオンラインゲームプラットフォーム「Steam」が、中国オンラインゲーム大手のパーフェクトワールド(完美世界)と提携し、「蒸汽平台」という名でサービス運用を開始した。Steamのサービスが中国向けに正式リリースされたことにより、世界的に人気のゲーム「Dota 2」など40近いタイトルを遊ぶことができる。
もともとの世界向けSteamが出た後に、ゲーム最大手でもあるテンセント(騰訊)から、「WeGame」というオンラインゲームプラットフォームがリリース済みなので、SteamとWeGameが中国で競合することになる。
■ラッキンコーヒー、傘下ラッキンティーを独立ブランド化とグッズ販売で攻勢
左:ラッキンコーヒー 右:ラッキンティー
中国の大都市各地で支店を増やすラッキンコーヒーは、傘下のラッキンティーについて、パートナー企業による経営とし、さらなる店舗数を拡大を目指す。ラッキンコーヒーといえば、スマートフォンアプリを活用したキャッシュレス決済での利用が特徴だが、ラッキンティーについては専用のアプリを用意するが、ラッキンコーヒーのアプリからも利用可能にするという。
またラッキンコーヒーは専用のタンブラーの販売を開始。グッズ販売路線も強化していく。
■瀋陽が「婚活O2O」で最も進んだ街と話題に
瀋陽の婚活O2Oの報道
東北部に位置する遼寧省の省都瀋陽が、中国の婚活でO2O(Online to Offline)が最も進んだ街だと紹介されて話題となった。紹介されたのは、大きな公園内に結婚させたい親が集まり、張り紙を掲載したり親同士が会話したりするという活動だ。多くの中高年が集まる中、日本を含む、在外の中国人の情報も張り出されていた。これ自体は中国全土の大都市であるが、ネットの婚活サービス会社もいくつもブースを構え、入会のためのQRコードを掲載し、各ブースのネットサービスの担当者が手取り足取り中高年に利用方法や入会の説明をしていた。ここが中国の他地域とは違うそうだ。
■海外旅行、今年も日本が人気
旅行サイトの驢媽媽と大手ECサイトの蘇寧易購は、夏休みの国内外への旅行に関する調査レポート「2019暑期出遊消費総結報告」を発表した。海外の渡航先としては日本が最も人気だったが、避暑も兼ねて北欧や南半球を目指す動きも目立ったとしている。
報告によれば、今年の夏の出発時期は7月下旬から8月上旬で、親子連れや学生グループが多く、避暑の他、遊学、愛国ツアーなどが中心だったという。これまで同様に、オンライン旅行サービスでは80后(1980年代生まれ)、90后(1990年代生まれ)が主体だったが、00后(2000年代生まれ)も目立ってきたとして、彼らの新しい価値観に合わせた旅行サービスが求められているとしている。
■脳波入力で一般人の入力速度超えの新記録
8月20日から25日まで北京で開催された「2019年世界ロボット大会(2019世界机器人大会)」において、脳波入力タイピング競争が開催された。このとき、天津大学精密儀器学院の魏さんが、1分間に691.55ビット、69文字の漢字を入力という新記録を樹立。これは普通の人の入力速度を上回った。
■微博(Weibo)が10年目
微博(Weibo)が10年を迎え、10年記念ページを開設した。当初は新浪微博という名でtwitterの模倣であったが、独自色をつけていき、独立して「微博」となった。
微博の2019年第2四半期の決算レポートによれば、2019年6月末時点での月間アクティブユーザー数(MAU)は4億8600万で、前年同期に比べ5500万人増加した。またこのうちの94%がモバイルからのアクセスだった。一日あたりのアクティブユーザー数は2億1100万(DAU)となった。
■ネットデマ発信でブラックリスト入りに
国家網信弁の意見募集サイト
中国政府のインターネット管理部門の国家網信弁は、インターネットと信用管理についてのルール「互聯網信息服務厳重失信主体信用信息管理弁法」の意見募集を開始した。これは悪質なデマを流すと、信用がないと認定されるブラックリストに登録され、様々なネットサービスの利用に規制が入るというというもの。これまでも罰金や懲役といった実刑があったが、加えてサービスが利用できなくなることになる。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
Weibo公式の中国向け広告コンテンツ拡散支援サービス「WEIQ(ウェイキュー)」は
中国向け越境ECや訪日中国人へのプロモーションに最適!
中国SNSのインフルエンサーの影響力を活用し広告コンテンツの拡散を強力にご支援します!
<サービス詳細>
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