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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年1月号】

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年1月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!

日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。

 

 

■ネット業界勤務者の平均月収は約18万円。業界内でも差が顕著に

 

求人情報よりネット業界の公示収入分布

求人情報よりネット業界の公示収入分布

 

 求職サイトの「BOSS直聘」が、インターネット業界勤務者の所得についてのレポート「2017互聯網人才趨勢白皮書」を発表した。レポートによれば、ネット業界の人材募集が前年比58.3%増と高い需要があった。

中国の都市におけるネット人材流出入状況。北京への流れが見える

 これによると平均月収は前年比3.1%増の1万600元(約18万円)で、特にディープラーニングをはじめとしたAI(人工知能)関連で前年比15%以上上がったとしている。平均値であがる一方、リーダーなど上位職と下位職の差は去年の7.9倍から8.1倍にあがり、差が広がっているとしている。地域別では北京の1万3300元を筆頭に、上海、深セン、杭州で1万元超となった。その一方で7割の地域で7,8000元程度の平均月収となっている。

 特に賃金の高い職種は、音声認識が最も高く2万8700元、以下NLP(2万8300元)、推薦アルゴリズム(2万7900元)、ITアーキテクト(2万7500元)、アルゴリズム研究(2万6900元)、データアーキテクト(2万6900元)、マシンラーニング(2万6200元)、自然言語処理(2万5900元)、ディープラーニング(2万5700元)、検索アルゴリズム(2万5400元)だった。

 

 

 

 

■中国のネットイベント「世界インターネット大会」開催、AIが焦点

 

世界互聯網大会で、タイ、トルコ、UAEなどとデジタル経済に関する一帯一路の国際提携を発表した

世界互聯網大会で、タイ、トルコ、UAEなどとデジタル経済に関する一帯一路の国際提携を発表した

 

 中国最大のインターネット業界のイベント「世界インターネット大会(世界互聯網大会)」が開催された。今年で4回目となるが、今年もBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)3社をはじめ、中国を代表する企業が集ったほか、アップルのティムクックCEOをはじめとした世界の有名なネット企業の代表や、アフリカをはじめとした世界各国の要人が浙江省の烏鎮に集うイベントとなった。

 

世界互聯網大会には中国国内外のネットのキーマンが参加した

世界互聯網大会には中国国内外のネットのキーマンが参加した

 

 今年はAIに関する話題が多かった。というのもBAT3社の代表がそれぞれAIについて語ったほか、展示会場でもAIに関する展示が目立ち、かつ中国のAIで台頭する企業のVersa、科大訊飛、搜狗の存在が目立ったためだ。

 またECのアリババやジンドン(京東、JD)は顔認証技術を活用した無人商店や無人車やドローンを展示。一方バイドゥとシャオミ(小米)はIoT製品とAIで提携したソリューションを展示。これらも注目を集めた。

 

 

■AIに強いバイドゥとファーウェイが戦略的提携

 

 検索サイトのバイドゥ(百度)とネットワーク機器のファーウェイ(華為)が全面的な戦略的提携を行うことを発表した。提携分野はインターネットサービスやコンテンツプラットフォームの運用、それにAI(人工知能)の研究など。

 特に注目なのは人工知能だ。中国で最も利用されている検索サイトとして知られる百度は、莫大な検索データを所有しており、それを活用したAIの研究開発に事業を集中している。かたやファーウェイは、同社の最新のフラッグシップモデルの「HUAWEI Mate10」では、ハードウェアでAI処理を行うSoC「Kirin 970」を搭載するなど、AIを強化している。AIに強い両社が提携することで、中国のAI研究開発はより加速していくという見方がされている。

 

 

■WeChatによるネット身分証の試験運用開始

 

身分証アプリ

 WeChat(微信)を使ったネット身分証の試験運用が、限定された地域レベルだが開始された。開始された地域は、12月25日に広東省の省都の広州市の1つの区「南沙区」で、今後中国全土に運用範囲を拡大していくという。

 これまでは身分証はカードを使っていたが、WeChatを活用し、カードレスで身分認証が必要なサービスを利用することができる。具体的には、役所などでの住民向けサービスや、ホテルの宿泊や、列車の切符購入などで利用できるという。これまではカードを紛失すると、再発行されるまで都市間の移動すらままならなくなるほど様々な面で生活が不自由になったが、このシステムの登場でカード紛失の心配がなくなり、ひいては個人情報漏洩のリスクが減るというメリットがある。

 WeChat自身が身分証機能をもつわけではなく、WeChat内のクラウドアプリ「微信小程序」内の専用アプリ「網証」を利用する。同アプリでは、顔認識技術を活用している

 

 

 

■自動車の自販機がアリババ系の「天猫」より登場

 

 アリババ(阿里巴巴)のB2CECサイト「天猫(Tmall)」の自動車販売チャンネル「天猫汽車」は12月13日、「自動車自動販売機」を発表し、上海と南京で店舗をオープンした。これはアントフィナンシャルのアリペイ(支付宝)と、アントフィナンシャルとアリババの信用システム、それにアリババの自動車ビッグデータを組み合わせたシステムにより実現したという。顔認識専用機を通して車の鍵を入手し、最長3日間試乗をすることができる。店舗は立体駐車場のような見た目で、上海の1店舗目の店舗面積は約200平方メートルとのこと。

 これまで新車はメーカーのディーラーが販売するのが一般的であるため、複数の自動車メーカーの製品を同一店舗で見比べることができる店舗は少なかった。この店舗では、トヨタ、ホンダ、日産、マツダといった日系メーカーの車種をはじめ、様々なメーカーの1000車種を選べるのが特徴だとしている。

 発表当時の今後の予定では、上海にもう1店舗、広州に1店舗を開店予定としていた。また年内には、中国全土の省都クラス以上の都市に、数十店舗の店舗を展開する予定だ

 

 

■ネットカメラによる店内のライブ配信で客が苦情で個人情報漏洩にナーバスに

 

水滴直播

 

 ライブストリーミング設定のあるWEBカメラを店舗が導入し、ライブストリーミングをしているにも関わらず店の利用者に通知しなかったとして、これに不満をもつ消費者が書いた文章が中国のニュースサイトに次々と転載され話題に。撮影され公の場でさらされプライバシーが侵害されることについての問題意識を高めるきっかけとなるニュースとなった。

 問題となったのは、中国セキュリティベンダーの360がリリースするネットカメラとサービス「水滴直播」だ。問題提示をする文章には「スマートフォンにタップするパスワードすら見ようと思えば見れる」としている。360サイドは、「利用には、ユーザーが許諾をした上で実名登録しなければならない」と責任は店側にあると当初回答したが、その後サービスを終了させた。

 ただし「水滴直播」は、学校の様子や寮の様子が見られると、学生の保護者からも一定の評価は得ていた。

 

 

■中国版Facebookこと人人網(renren)、実質中古車販売サイトに

 

人人網はFacebookのようなサービスから、女子大生のライブ配信サービスに主軸を移した

人人網はFacebookのようなサービスから、女子大生のライブ配信サービスに主軸を移した

 

 登場当時はFacebookにそっくりなデザイン・インターフェースで話題となった中国産SNS「人人網(当時は校内網)」。その人人網の最新の売上状況は、中古車業務収入が68%を占め、続いてライブストリーミング業務、ネット金融業務となり、実質中古車販売サイトといっていい状況となった。メディアの記事によると、いずれのサービスも、本業のSNSとは関係なく、そのブランド名だけで闇雲に様々な業務に手を付けている状況だという。

 

人人網はさらに中古サイトの人人二手車に力を入れている

人人網はさらに中古サイトの人人二手車に力を入れている

 主要業務となった中古車業務は、中国でオンライン中古車売買市場が拡大してきた春に開始したばかり。

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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・2017年12月号
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