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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2017年10月号】

 

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2017年10月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介する新連載です!
日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。

 

 

■中国セキュリティ博覧会で「大安全」を提唱

 

9月12日と13日に、北京で中国インターネットセキュリティ大会(中国互聯網安全大会。ISC 2017)が開催された。同イベントは、中央網信方や工業和信息化部(情報産業省)や公安部といった政府関連部署が支持し、中国セキュリティ大手の「360」と、中国互聯網協会(中国インターネット協会)と、中国網絡空間安全協会が共同で開催する中国最大のネットセキュリティに関する最大のイベントだ。同大会は2013年より開催され、今回で5回目となる。

今回の同大会は、「大安全」という言葉が多く登場した。大安全とは、PCやスマホ向けのセキュリティーにとどまらず、さらに社会や政府への攻撃に備え、政府、軍、民間が一体となって社会セキュリティを強化する概念のこと。

中国セキュリティ大手の360の董事長の周氏はキースピーチの中で、世界中に大きな影響を与えたマルウェアの「WannaCry」や、トランプ氏が勝利したアメリカ大統領選挙でのハッカーでの関与や、ウクライナでのハッカー攻撃を引き合いにだし、現在はサイバー攻撃がもはやネット上だけの問題にならず、リアル社会にも影響を与えているという認識を共有した。

また中国においても、人だけでなくモノもインターネットを利用するIoTや、車向けIoTのコネクテッドカーが今後普及していき、ますますネットへの接続数が増えると紹介。一方で電子決済導入により、警察による犯人の逮捕についても9割がネットを活用したものとなるだろうと語った。そうした中で360は、工業の安全、社会の安全、国家の安全においてネット攻撃から守る重要な企業になると氏は語った。

 

 

 

■百度と銀聯が「金融とネット」で戦略的提携

銀聯雲閃付

 

検索の百度と決済の銀聯(銀聯商務)が9月15日、AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングによる金融業務の改善で戦略的提携を行った。まずは顔認証決済について研究開発を両社で進めていく。

電子決済というと、阿里巴巴(アリババ)と関係のある「ma蟻金服(アントフィナンシャル。maは虫へんに馬)」の「支付宝(アリペイ)」と、騰訊(テンセント)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」 の2社がシェアのほとんどを占める。銀聯は銀聯雲閃付というサービスをリリースして、キャンペーンを打つものの、シェアを取るには至っていない。遅れをとった百度と銀聯連合は新技術でシェア確保を狙う。

支付宝のアプリ内で「滴滴出行」などが利用できるように

 

ちなみに先行する支付宝は、9月にアプリ内プログラム(小程序)のテスト版をリリースした。微信支付は導入済み。これにより消費者にとってはアプリをインストールすることなく、支付宝のアプリから、支付宝と提携する様々なサービスを利用できるようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

■スマートテレビの勢い落ちる

 

「スマートテレビの勢いが落ちている」と虎嗅網が伝えた。ここ3,4年は創維(スカイワース)、海信(ハイセンス)、TCLといった旧来の中国テレビメーカーに対し、小米(シャオミ)や楽視といった新興企業がコストパフォーマンスで攻めるという、スマートフォンでもあった市場開拓が行われていた。ところが2016年よりその勢いは止まり、2017年第1四半期には販売台数(1153万台)が前年同期比マイナスになり、この5年間で最低の数字となったという。リアルショップでもオンラインショップでも販売台数減が止まらない。

この原因として、テレビのハードウェアに大きな変化がないため買い替えが起きていないこと、小米(シャオミ)などのブランドのファンが既に買ってしまっていること、勢いのあった新興企業の販売チャンネルが農村にはないことを同記事では挙げている。

つまりスマートテレビを入口としたネットサービスも、テレビそのものが大きく変わらない限りは伸び悩みそうだ。

 

新興のスマートテレビ「PPTV」

 

 

■百度、自動運転車プロジェクトに100億元ファンド

 

百度(バイドゥ)が100億元(約1700億円)の自動運転車向けファンドを設立したと発表した。「アポロ基金」と名付けたファンドの100億元は、3年内に100の自動運転プロジェクトに充てられるという。アポロ計画は2020年の完全な自動運転車の創造をゴールとしている。

以前は阿里巴巴(アリババ)や騰訊(テンセント)とあわせて、その頭文字から「BAT」と呼ばれていたが、スマートフォンの普及により検索ニーズがあがらず百度は相対的に凋落している。百度は上記の銀聯との提携などの新技術の研究開発で復活をかける。

 

 

■微信支付も支付宝同様、残金の投資信託運用が可能に

騰訊(テンセント)の微信(ウィーチャット)の機能「微信支付(ウィーチャットペイ)」にチャージされた電子マネーの残金を投資に回せるMRF「零銭通」

 

騰訊(テンセント)の微信(ウィーチャット)の機能「微信支付(ウィーチャットペイ)」にチャージされた電子マネーの残金を投資に回せるMRF「零銭通」が9月5日に登場した。ライバルのアントフィナンシャルの支付宝(アリペイ)の魅力のひとつがMRFの「余額宝」であり、これに対抗したサービスと評されている。中国の消費者からすれば、どちらのサービスでもそのまま銀行で貯金しているよりも高い利率で運用するので、チャージしたくなるだろう。

 

 

 

 

 

■微信支付が路線バスで利用できる都市は11都市に

 

 

微信支付(ウィーチャットペイ)は、同サービスのQRコードによる電子決済で路線バスが利用できる都市が11都市になったと発表した。11都市は広州、深セン、佛山、合肥、駐馬店など。その都市で全てのバスで導入されるというわけでなく、徐々に対応する車両が増えていくのが一般的。

 

 

■シェアサイクル投入を止めた都市は全部で11都市へ

 

北京市交通委員会は微博(Weibo、ミニブログ)で、関連当局とシェアサイクル企業関係者を招集し、新たにシェアサイクルの車両投入を停止させたことを発表した。現在、上海、広州、深セン、武漢など11の都市でシェアサイクルの新規投入を止めている。現在多くの都市の繁華街を中心にMobikeやOfoなどによるシェアサイクルが大量に投入されている。

 

 

■京東、ビットコイン目当ての無条件返品を悪用するユーザーに苦慮

 

ECサイトの京東(JD、ジンドン)は、ビデオカードやイヤフォンなどの製品について、これまで行っていた「7日間無条件返品可能」を見直すことにした。

京東によれば、一部の消費者がビットコインのマイニング目当てでビデオカードを購入し、6日後に返却するユーザーが目立つようになり、結果中古市場に大量にビデオカードが流れていると指摘。売り手の他の消費者の権益を損ねているとした。また京東は牛乳、化粧品、ゲームソフト、貴金属などにも「7日間無条件返品可能」を見直そうとしていると報じられている。

 

有力ECサイト「京東」

 

 

■微信、QQなどのグループが実名制に

 

政府機関の国家互聯網信息弁公室は、グループチャットの実名化をついて記した「互聯網群組信息服務管理規定」を発表した。10月8日に施行した。グループチャットでのアカウント名は実名である必要はないが、グループチャットサービス提供者は必ず実名認証しなければならないとしている。

 

 

■アリババ、1000億元をスマート物流に投資

 

阿里巴巴は9月26日、同社傘下のスマート物流企業「菜鳥物流」に53億元(約900億円)投資することを発表、さらに今後5年で1000億元(約1兆7000億円)投資すると発表した。

菜鳥物流の特徴は、複数の物流企業と提携し、トラックや倉庫などのリソースの状況を把握し、ビッグデータで最適なリソースに荷物を振り分けて物流を効率化することにある。中国国内は24時間内に、海外は72時間以内の配送を目指す。

 

 

■アリババ、雄安新区のスマート都市化に1億5000万元投資

 

北京の副都心として建設される「雄安新区」に、阿里巴巴(アリババ)が1億5000万元(約26億円)を投じてスマートシティ作りのサポートをすると発表した。阿里巴巴によれば、AIの「阿里巴巴人工知能技術」と同社のスマート物流を担う「菜鳥科技」、それにフィンテックのアントフィナンシャルの子会社が建設される。雄安新区は河北省保定にあり、国家級新区に指定されたその場所は今は何かあるわけでもないが、将来洗練されたスマートシティとなる可能性がある。ただ、前述のスマート物流への投資額と比べると少ないのでまだ様子見か。

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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