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まだそんな浅いマーケティング手法に振り回されてるの!?日本企業が中国ECで考えるべきブランディングの具体策【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】

まだそんな浅いマーケティング手法に振り回されてるの!?日本企業が中国ECで考えるべきブランディングの具体策【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】

 

こんにちは、アイディールの小林です。


今回で5稿目となる今回のコラムでは、直近の中国におけるマーケティングの具体的な失敗事例を挙げて、奥行き感のあるブランディングを行っていく必要性について書いていきたいと思います。

すでに中国に向けて(ECなどで)商品販売をお考えの皆様では周知となってきておりますが、現在中国におけるマーケティング手段の中で、インフルエンサーによる口コミ投稿は非常に有効とされています。

しかし何となく効果があるのではないか?と気楽な考え方で進めてしまったが故に失敗をしてしまった2つの事例について、まずはご紹介をさせて頂きます。


中国向けマーケティングでの失敗事例

 

中国でのインフルエンサーマーケティング失敗事例

 

失敗事例1

・某美容雑貨系メーカー
・年商10億円程度
・日本国内では全国ドラッグストアなどを中心に販売。
・中国人代理購入バイヤーなどの活動により最近中国で売れ始めているが、メーカー主導でハンドリングが出来ていないため今後どのようにブランディングしていくか悩んでいる。

ここで試験的にインフルエンサーマーケティングをしてみようという事で検討をし、当然ながら直接インフルエンサーに依頼するルートを持っていないため、広告代理店に依頼をしてトライアルを実施しました。

当然トライアルなので仕方ないのですが予算を最小にし、10~20万人の比較的小さめのインフルエンサーに発信を依頼し、結果として目立った影響が現れずにこのマーケィング手段に対してネガティブに捉えてしまうという結果に繋がっていました。

 

 

失敗事例2

・某基礎化粧品メーカー
・年商数億円程度
・日本ではECなどを中心に少人数規模で手堅く直販を実施。
・中国への本格的な進出のために社内でも中国籍のスタッフを雇用し、タオバオ(Taobao)に自社ショップを開設し、知名度を上げたいと考えていた。

自社に中国籍スタッフがいたため、50万人~100万人ほどのフォロワーを持っているインフルエンサー10名程度に対し、直接商品を渡し発信の交渉をした上でマーケティングを実施しました。

1投稿に対して数百のいいね!やコメントが付くため、一見するとそれなりに成功したように思えましたが、実際にタオバオの自社ショップのアクセス数などは大きく変化しないという結果に繋がっていました。

 

 

 

事例の考察をしてみると…!?

 

事例1のケースで言うと、そもそも10~20万人程度では中国国内のインフルエンサーとしては非常に小さい規模であると共に、自社の製品との親和性がとても大事である事に目が行き届いていない事が分かりました。

配信したインフルエンサーは、普段ファッション関連の投稿が多く美容系の商材との親和性が低く、また大きな影響を出せる規模感のフォロワー数もないため、特に何も起こらないのは必然でした。

インフルエンサーをチョイスする際にきちんと吟味をせず、広告代理店の言いなりで失敗をしてしまう顕著な例とも言えると思います。

 

事例2のケースで言うと、最近の中国のインフルエンサーはチームを組む事が増えてきており、インフルエンサーAの投稿があるとインフルエンサーBは必ずいいね!とコメントを付け、インフルエンサーBの投稿があるとインフルエンサーAがいいね!とコメントを付けるという事が(恐らく日本の企業が想像しているよりも)大きな規模感で行われています。

これの見極めをするためには、コメントを見た際に異様なほどポジティブなコメントのみが並ぶケースがあり、こういった場合はほぼチーム間(身内間)でのコメントの付け合いだと考えて間違いはないでしょう。

つまり、こちらもインフルエンサーの吟味が弱かった事と、適切な情報のコントロール手法について知見が足りなった顕著な例だと言えると思います。

 

 

 

では、どのようにブランディングをしていくべきなのでしょうか…!?

 

インフルエンサーマーケティングは有効ではあるものの、それは一定の条件があります。

まずは前述から学べる通り、中国のマーケティング事例の知見をきちんと持つ事。もしくは、効果の無いインフルエンサーを排除するアルゴリズムを持ったサービスなどを用いる事。などによって「誰に」自社商品を紹介して貰うのかを見極めていく必要が高いと言えます。

 

次に、この情報発信からスムーズに消費者の信頼を獲得していける一貫性のある導線がきちんと敷かれているかどうかも重要なポイントです。

一貫性というと、どうしても「ターゲットに沿った広告など」→「最適化されたLP(ランディングページ)」→「自社ECサイトの販売ページ」を想像してしまいますが、中国ではまだこの構成で成功している企業がないのが実情でもあります。

 

中国人は日本人に比べると非常に複雑です。

そもそも国民の人数が多い事や民族や地域の風習の違い、生活環境の違いなど、単一民族国家の日本人よりもはるかに複雑な文化形成の土壌があるからです。
つまり従来、ある程度の「塊」で考えていたターゲットと、それに合わせた戦略でマーケティングを行っていれば一定の成果を得られていたのが、その塊が細かく分かれていることでそれぞれに合わせていかなければいけない難しさがある訳です。

 

さらに粗悪品や海賊品との戦いを強いられてきた中国の人たちは「騙されたくない」という消費者心理が強く、まずは信頼を得なければ見向きもしてくれないという傾向が強いことなどから、当社が常日頃から提唱しているのは以下の具体的施策です。

それは、
・適切な検索エンジン対策
・適切な売り場作り
であると、当社では提唱しています。

 

 

 

適切な検索エンジン対策とは?

 

適切な検索エンジン対策とは、SEOで自社の販売サイトを検索上位に持ってくる事だけを指している訳ではありません。

メーカー/商品サイトの中国語化も重要ながら、最も重要なのは商品やサービス提供主体者(メーカー企業など)以外が当該商品について、いかに第三者視点として情報を発信してくれているサイトやページを増やすか、という事も重要になってきます。

この場合、例えばファン組織などを形成し、ネット上のコミュニティを形成しておく事などがとても有効に働いてきます。

 

また、中国では日本で使われている検索エンジンは日本とは異なります。中国では海外発の検索エンジンよりも、百度や360搜索などの国産の検索エンジンがシェアの上位を占めています。

なので、この国産検索エンジンを基準に対策を打つ必要も忘れないようにしたいポイントです。

 

 

中国検索エンジンシェア
 
http://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/china/#monthly-201612-201612-bar のデータを元にi-DEALにて作図

 

そもそも中国でインフルエンサー(網紅)マーケティングが有効だと言われている理由は、中国の消費者は第三者からの意見を集めた上で総合的に判断するからです。
日本以上に販売サイトのレビューを重要視する傾向も強く、前述のコミュニティについては以下のサイトなどを活用する事が好ましいと考えられます。

 

 

・大众点评(大衆点評 da zhong dian ping)
https://www.dianping.com/

 

大众点评(大衆点評 da zhong dian ping)
 
レストランや観光地、ホテル、カラオケ、スポーツジムなど、ありとあらゆる場所に対する口コミを見ることができます。口コミの数が日本のどの口コミサイトをも凌駕し、またこれだけ多ジャンルにまたがる口コミが載っているサイトは日本にはないのではないでしょうか。

 

 

・小红书(小紅書/通称RED xiao hong shu)
http://www.xiaohongshu.com/

 

小红书(小紅書/通称RED xiao hong shu)
 
海外商品の口コミを見ることができるサイトです。美容、マタニティ・ベビー、ファッション、食料品など様々ジャンルに分けられており、個人ユーザーが自由に商品の紹介をしています。またその紹介ページに質問を書き込むこともでき、手に取って買うのが難しい海外商品のイメージをしっかり掴んでから購入することができます。また、サイト内で商品を購入することもできます。

 

 

・知乎(知乎 zhi hu)
https://www.zhihu.com/

 

知乎(知乎 zhi hu)
 
日本でいうYahoo!知恵袋のようなサイトです。自分が疑問に思ったことを自由に質問することができ、別のユーザーがそれに回答をするというものです。ジャンルは政治から美容まで多岐に渡ります。過去の質問も見ることができるので、気になる商品名を入れればその商品に対する様々な意見を見ることができます。

またこういったサイトの他に、微博(中国版Twitter)、微信(中国版LINE)などから口コミを探しますので、インフルエンサーマーケティングの前にいかにファン組織などを形成して、検索結果にこのようなサイトのコミュニティが表示されるかというのが非常に大事だという事になります。

 

 

 

適切な売り場作りについて

 

次に適切な売り場作りに関していうと、自社の販売サイトに消費者を集約する事は利益率が高く(その分顧客にも還元が出来るので)好ましいと思います。
長い目で見れば正しい考え方でもありますが、前述した通り狙ったように収益を伸ばせないのも事実です。

 

日本企業的発想では、「正しい情報を正しく掲載していれば信頼を得られ」、「結果として購買に繋げられる」と考えがちですが、これがうまくいかない。

つまり、間違いの根本でもある訳です。
これは何故でしょうか。

 

それは、自社サイトの場合、第三者が客観的にその信頼を担保してくれないという理由が挙げられます。
Tmall、京東、TaobaoなどのECモールには、プラットフォーム側がその信頼を担保してくれる仕組みがあります。

つまり中国でのブランディングの初期段階においては、自社サイトの信頼を得るためにあえてECモールに出店する事でブランドの価値を高めていくという手法があります。

 


中国では、商品について知りたいときに、60.8%もの人がネット上で商品レビューや口コミを参考にするというデータがあります。実に半数以上に上るという結果です。

Amazonの発祥地であるアメリカでは39.4%という結果が出ており、比較すると中国の人がいかにネット上の口コミを重要視しているかということが分かります。
出典:「China Connected Consumers2016」
(https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/cn/pdf/en/2016/11/china-s-connected-consumer-2016.pdf)

 

つまり、商品を購入するサイト群(=中国では大手ECモールのショップが大きな割合を占めています)でレビューを見ながら購入を考えていく事から、普段卸を行わない方針だとしても、あえてタオバオ各ショップなどに卸を行うのが非常に有効であると言えます。

 

 

 

皆様の未来に向けて…

 

ここまでの準備ができたら、思い切ってインフルエンサーマーケティングを実施していきましょう。結果として発信した情報に信頼性が増して、効果が上がってくると考えられます。

中国にはまだ手付かずの8億人が存在しています。 

 

今回のコラムで書かせて頂いた事はROIの設計も難しいとても地道な活動ではありますが、短期的な成果だけを求めるのではなく、自社のブランドを中国に根付かせる事が出来れば将来的には充分大きなリターンが取れるはずです。

当社からはその未来に向けて、適切なブランディングを行っていく事をお勧めしています。

 

 


<筆者プロフィール>
小林 淳(Jun Kobayashi) 株式会社アイディール代表
小林 淳(Jun Kobayashi)
株式会社アイディール代表。 世界初のモバイルメールのメディア企業、某大手電機メーカー子会社、CRM系企業の役員を経て、2007年株式会社アイディールを設立。 現在は中国に向けた越境ECを中心に、日本のメーカー企業の中国におけるブランディングやセールスを行っている。
 

中国に向けた越境ECプラットフォーム運営の株式会社アイディール http://ideal-inc.com/

※記事作成アシスタント:株式会社アイディール オペレーションチーム 依田有里佳

 


 

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