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稼いでいる人はもう始めている!ライブ動画配信興隆期の「今」知るべき中国ライブコマースの基礎知識【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】

 

中国で注目度急上昇中の「ライブコマース」について、今知っておきたい基礎知識をまとめてご紹介します!

 

 

稼いでいる人はもう始めている。ライブ動画配信興隆期の「今」知るべき中国ライブコマースの基礎知識【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】

 

 

こんにちは、アイディールの小林です。

 

中国ECでは今「ライブコマース」に対する注目が大変高まっています。とある淘宝網(Taobao/タオバオ)の店舗ではライブコマースの開始前後で売上が10倍になったという話もあります。

 

そこで今回はこの「ライブコマース」のパワーを越境ECでも活用するために、ライブ動画配信プラットフォームの現状から、ライブコマースの始め方、成功のポイントまで、今知っておきたい基本知識をまとめてご紹介します。

 

 

 

◎ライブコマース?ライブ動画?まずは基礎知識。

 

まずライブコマースとは、インターネットを使って専用のアプリやウェブサイトに「生放送されているライブ動画」を通じて、ECサイトでの購入に繋げるサービスの総称だとお考えください。

 

ライブ動画配信については、日本国内ではニコ生やツイキャスを代表としてTwitchなどの海外サービスなども有名ですが、そもそも中国では日本以上にライブ動画配信が非常に盛り上がっています。

 

中国におけるライブ動画配信の始まりは「ビデオチャットルーム」というものが開設された2005年頃と言われており、現在のような形態でライブ動画配信が盛り上がってきたのはここ2~3年です。

 

数多くの中国産サービスが生まれており、何より注目すべき点はその人気です。

 

ライブ動画配信利用者は2016年に3.25憶人を超え、これはネット利用者の45.8%が利用している計算になります
(データ出典:「闽南网」http://www.mnw.cn/keji/internet/1493980.html

 

「お喋りが好き」で、リアルタイムコミュニケーションを取りたがる「国民性」が背景にあり、録画動画と違い、発信している情報に対してウソがつきづらい生のライブ動画配信は、視聴者が信頼感を持ちやすく、今後も中国人に受け入れられていくことが大いに予想されています。

 

さて、まずは人気の高いライブ動画配信プラットフォームにどんな物があるのかを見てみましょう。

 

 

1. 虎牙直播

http://www.huya.com/

2012年の運営開始より質の高いライブ動画配信にこだわっている。ゲームの実況中継が人気。ネットゲーム大会の発展に伴い、虎牙は世界タイトル級のゲーマーを多く集めてライブ動画配信をさせることに注力。国内外の大会のライブ動画配信権利を得て、独占配信を行っていることが大きな魅力である。

 

2. 映客直播

http://www.inke.cn/

2015年5月リリース。一般の人でも様々なジャンルのライブ動画配信ができる「全民直播」という概念を生み出す先駆けとなった。クリーンな内容のライブ動画配信しかできないように厳しく監視されている。配信者が美顔エフェクトを使い、より美しい顔でライブ動画配信ができる機能が人気。

 

3. 花椒直播

http://www.huajiao.com/

2015年6月リリース。90年代生まれ以上の若者が比較的多い。多くの芸能人も利用しており、ユーザーはライブ動画配信を通して芸能人と直接やりとりをすることができる。2016年6月にはVRライブ動画配信サービスを開始し、より臨場感のあるライブ動画配信が実現した。

 

4. 斗鱼

https://www.douyu.com/

2014年1月リリース。ニコニコ動画のように、コメントが弾幕式で出てくる点が特徴。ゲームの実況中継がメインで、様々なジャンルのライブ動画配信を見ることができる。

 

5. 熊猫直播

http://www.panda.tv/

2015年9月リリース。こちらも弾幕式でコメントが流れてくる。熊猫直播は人気の非常に高い芸能人(Angela baby等)、そして実力派のゲーマーを配信者として抱え、質の高いライブ動画配信を見ることができるということで人気を集めている。

 

このような代表的なサービスを中心に、視聴者が増加すると共に配信者は現金化できるアイテムのプレゼント(いわゆるおひねりサービス)で収益を上げる人や、ライブ動画配信時に商品を紹介する事で物販を行い、それによる収益を上げる人たちが生まれてきています。

 

以前はこのような役割を持ったプラットフォームは微博(Weibo)が担っていた訳ですが、上記のサービスが産まれると急速に「生」の動画配信に人もお金も集まり始めています。

 

配信者の中には、年収で1億円ほど稼ぐような人も出てきた事で日本国内でも話題になりました。

 

そして、これらのライブ動画配信プラットフォームの人気を受けて、2016年3月には淘宝網(Taobao/タオバオ)自身がライブ動画を通じたEコマースである、淘宝直播 https://www.taobao.com/?spm=a210m.8128235.1581860521.1.2q5r3z というライブコマースのプラットフォームを導入しました。

 

 

お取引先様がi-DEAL事務所でライブ配信を行った際のキャプチャ画像


(お取引先様が当社事務所でライブ配信を行った際のキャプチャ画像)

 

 

それまではライブ動画配信サービスとEコマースサービスは分断されており、動画内で商品購入のためにサイト誘導などを行っていたのですが、とうとうECプラットフォーム自身がシームレスに連携できる環境を作り上げた訳です。

 

この辺りの動きの早さこそが現在の中国の発展スピードの象徴でもあります。

 

そして現在は京東(JD)や蘑菇街(Mogujie)http://www.mogujie.com/などの他のECプラットフォームでもライブ動画の機能が導入されており、红豆角直播(Hon dou jiao)http://www.hongdoujiao.com/などライブコマース専用のプラットフォームも登場してきました。

 

このように、ライブ動画配信から始まったライブコマースも急速に広がりを見せつつあります。

 

 

さて、これからの中国ECにおいて切っても切り離せなくなりつつあるライブ動画配信ではありますが、淘宝網のライブコマースを始めるにはどのように導入を進めていったら良いのでしょうか。

 

まず、淘宝網のアカウントがあれば誰でも始められるということではなく、以下の条件をクリアする必要があります。

 

 

 

 

◎淘宝網でのライブコマースの始め方

 

 

淘宝網でのライブコマースの始め方

 

 

  • アリペイ(支付宝)のアカウントを通して本人確認。
  • 一定数以上のファン数+マイページでの一定数の投稿とそれをお気に入りされた数(会員の種類によって異なる)の確認。
  • 市場を見極める力、話す力、考える力、ファンとの信頼関係が必要となるため、それを確認するために適当な長さの動画を投稿し、それを確認。

 

以上の1次審査をクリアして、初めてライブ動画配信の権限を得るための2次審査の申請を出すことができます。

 

2次審査が通って、ようやくライブ動画配信を行うことが出来るようになります。

 

前回のコラム(中国ECで上手くいかない日本企業はユーザーからの信頼を獲得できていないかもしれない。という大事な話【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】)でも書かせて頂いた通り、ここでもプラットフォームが配信者のクオリティを一定以上に引き上げることで、消費者に信頼を担保している訳です。

 

また一般的に、元々ファンの多いインフルエンサーが配信しなければ売れないという誤解もありますが、実はそうではありません。

 

ECプラットフォームが提供しているライブ動画配信には、そもそも購入モチベーションが高いユーザーが集まり、しかも暇つぶしがてらの「ながら見」をするので知名度が無い配信者(店舗)でも実は十分に視聴者と購入者を集めることができます。

 

そのためにいくつかのコツがあり、どのような放送をするべきなのかを以下に大事なポイントをまとめたいと思います。

 

 

 

◎ライブコマースを成功させる5つのポイント

 

ライブコマースを成功させる5つのポイント

 

 

本件は日本国内の事業者の皆様のために、日本国内でライブコマースを行うという事を前提としていますが、本質はどのような状況でも同じですので是非ご参考にして頂ければと思います。

 

 

1.視聴者が欲しい物をきちんと見極める。

 

 自社のEC店舗のお客様が何を求めているのか(ベビーマタニティが強いEC店舗なのに、家具を売ってもお客様には求められていない)をきちんと見極めることや、ライブコマースならではのコミュニケーション(動画内で視聴者に質問を投げかけ、回答して貰うなどのインタラクティブなやり取り。以下、質問例。)によって、お客様の要望をどんどん吸い上げていってください。

 

 例)最近欲しいと思ったコスメはある?

   みんなは◎◎っていうブランドは知ってる?

   今から銀座に行くけど、どんな所が見てみたい?

 

 

2.視聴者だけが享受できるお得感を必ず用意する。

 

 「おじちゃん、もっと安くしてよ!」といった風情で、市場で店主とコミュニケーション

を取りながら商品を購入する延長こそがライブコマースです。予め視聴者に向けた割引

やノベルティなどのベネフィットを用意し、コミュニケーションを通じて視聴者だけが

享受できるお得感を与えて一体感を出していってください。

 

 

3.長時間の放送を行う。

 

 すでに大規模なファンを持っている訳ではないなら、時間は非常に有効な武器になりま

す。例えば実店舗で購入した商品をEC販売(代理購入型販売)するとしたら、実店舗に到着してから動画配信を始めるのではなく、何時間も前から近辺の紹介などを行うなど、時間を使って視聴者を増やしていってください。また、実店舗に訪問する予定日の何日も前から予約注文を取るために毎日動画配信を行うことも有効です。

 

 

4.商品に購入者の名前を書くなど、実際に購入している状況を見せる。

 

 ライブコマースの一番のキモは「信頼感」です。その場で実際に購入した事を証明するために、実店舗で購入した商品に注文者の名前(アカウント名)を書き込むことで「後で商品を入れ替えられる」などの心配を払拭する事が出来ます。

 一見すると非常に荒っぽい手法のように見えますが、日本からの代理購入型販売の場合はほぼこの形が導入されていると思ってください。

 

 

5.熱の高いライブ感を演出し、購入者数を上昇スパイラルに乗せる。

 

 何人かが購入をし始めると、他の人たちもそれにつられて購入を始めることが往々にし

て起こります。「また何個売れました!残りは◎◎個なので、欲しい人は早く買わないと

なくなりますよ!」といった具合で「生」であるが故のライブ感をどんどん作っていってください。

 

以上が重要なポイントとなります。

 

--

 

ここまでの内容を読んでくると、ライブ動画が配信されている裏側では映像を非常に作り込んでいるような錯覚が産まれますが、実際は素人レベルの撮影で問題ありません。

 

例えば、テレビ的映像の事を考えると、配信対象以外の物が映りこまないように。だとか、カメラのカット割り/台本など事前に取り決めた通りに撮影する必要があるように感じますが、逆にこういったことは全て無視した素っぽい動画こそがウソのつけないリアル感を生んで、中国人にとってはそれが信頼となっている訳です。

 

これは、ある意味では映像のプロには決して分からない、そして作る事の出来ない世界なのかもしれません。

 

どんな下手な動画だろうが、実際の放映はいかに配信者に任せていけるか。という事は重要なポイントになっていくと言っても過言ではありません。

 

こういった事をまとめていくと、どこまで行っても中国でうまくいくかどうかは、徹底した現場主義と即断即決できる裁量をいかに与える事が出来るかどうかに尽きるのではないかと感じています。

 

ぜひ今後のライブコマースについての環境は引き続き注目して頂ければと思います。

※文中のURLは基本的にはスマートフォンアプリを使用することが推奨されます。パソコンではライブ動画配信を見ることができないサイトもあります。

 

 

 


<筆者プロフィール>
小林 淳(Jun Kobayashi) 株式会社アイディール代表
小林 淳(Jun Kobayashi)
株式会社アイディール代表。 世界初のモバイルメールのメディア企業、某大手電機メーカー子会社、CRM系企業の役員を経て、2007年株式会社アイディールを設立。 現在は中国に向けた越境ECを中心に、日本のメーカー企業の中国におけるブランディングやセールスを行っている。
 

中国に向けた越境ECプラットフォーム運営の株式会社アイディール http://ideal-inc.com/

※記事作成アシスタント:株式会社アイディール オペレーションチーム 依田有里佳

 


 

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