<淘宝入門>まずはユーザー目線で淘宝サイト内を探索してみよう!~カテゴリごとの特設市場もいろいろ~
「見つからない宝物はない、売れない宝物はない」
8億点以上の商品が販売される、世界最大級のCtoC(消費者間取引)インターネットショッピングサイト「淘宝(Taobao、タオバオ)」
どんな商品が人気なのか、中国ネットユーザーの目線で検索してみましょう!
「現地に足を運んで初めてわかることがある」
「自らユーザーとして使ってみなければ始まらない」
───繰り返し言われてきたにもかかわらず、ふと自身を振り返ると実践できていないことも多々あるな、と感じる今日この頃。セミナーや書籍等を通して理論や事例をいくら詰め込んでも、それだけでは不十分です。実際にいちユーザーとしてサイトなりサービスなりを利用し、戸惑い、模索し、発見したりすることを通じて初めて見えてくることもたくさんあります。
中国ネットビジネスにおいても同じです。「言語の壁」を理由に“ユーザー体験過程”を怠ってはいけません。同じ漢字圏の中国と日本。「わかるはずがない」という心理的ハードルさえ払拭できれば世界は変わります。時間を確保して、実際に淘宝のサイト内を歩き回ってみましょう。日本のショッピングモールとの違いや網民=中国人ネットユーザーの嗜好や興味関心、商品選択の基準など、見えてくることがたくさんあるはずです。
今回の記事はただ読むだけでなく、読みながら実際に淘宝サイトを開いて探索してみてください。実践が大事です!
まずは正門・トップページからスタート
トップページがやたら長いのは淘宝に限らず中国ウェブサイトの一般的な特徴。
ちなみに淘宝と楽天市場のトップページを長さだけで比べるとこのくらいの差があります。その時々で長さは変わりますが、この時点では2.1倍。
上から順番に探索を開始しましょう。
検索窓には、「宝貝(バオベイ)」「天猫(テンマオ)」「店舗」と書かれています。「宝貝」は「お宝」の意味で淘宝では商品を指します。ちなみに「淘宝」の「淘」には砂金など粒状のものを水の中でより分け流し取るという意味があり、「お宝探し」といったようなサイト名になっています。
デフォルトのままなら、淘宝+天猫2サイトの商品データベースからの検索結果が表示され、「天猫」を選択すれば、天猫だけの結果となります。
検索窓のすぐ下には、直近でよく検索されているキーワードの中からいくつかがランダムに表示されます。試しにリロードしてみると、また別のキーワードが並びます。ついでなので右側にある「更多」をクリックしてみてください。「更に多く」つまり「See more/もっと見る」という意味のリンクテキストです。中国のサイトでは頻繁に登場します。
お!っと思った方いらっしゃるのではないでしょうか。そう、ここは淘宝で今注目の商品がわかるランキングなのです。「今日関注上昇榜」は、関心度が急速に高まっている商品キーワードです。右側の「完整榜単」をクリックすれば100位までをチェックできます。「一周関注熱門榜」は一週間でのランキングになります。
中国語の単語の意味が分からなくても、クリックすればその検索結果ページに飛びますので、写真を見れば何を指す単語か一発理解できるはずです。
「服飾」「化粧品」などジャンル別ランキングを見ることもできます。
季節やソーシャルメディアで話題になるなど様々な要因で刻々と変化していきますので、定期的にチェックしてみるとトレンドの傾向もつかめるはずです。
検索窓の下の左側は「主題市場」、カテゴリー一覧です。
カーソルをあわせると右側にサブカテゴリーの一覧が表示されます。
全カテゴリー一覧を見たいなら、「主題市場」と書かれたすぐ右側の「≡(三本横線)」をクリックしてみてください。
全カテゴリー(メインカテゴリー&サブカテゴリー)の一覧ページが開きます。
漢字を見れば意味が分かるものが大半かと思いますが、不明なものがあればGoogle翻訳を頼りましょう。
中央部分には特集バナー・天猫への誘引リンクがあり、右側にはログインエリア、そして「遊戯(ゲーム)」「旅行」「音楽」など、物販以外のサービスへのリンクのコーナーなどが並びます。
少しスクロールして下に移動してみましょう。
淘宝では、いくつかのカテゴリーについては専用トップページが作られています。例えば「潮電街」は家電製品の特設ページ(特色市場)で、「極用家」は家具を中心とした特設サイトです。
他にどんな特設ページがあるのか見てみたいと思ったら、ここでもクリックするのは「更多」。
トップページをさらに下へと移動すると商品画像が並んでおり、様々な切り口で、商品一覧ページや個別商品ページへと誘導するリンクが張られています。ログインしていれば属性や購入履歴などと連動したものが並び、ログインしていなくても直近の閲覧履歴と関連した商品・ジャンルが表示されるはずです。
ひとつ注目すべきは「直播」コーナーです。
今中国で非常に注目されているのが「ネットライブ放送」で、淘宝でも売り手がリアルタイムに商品を紹介し、ユーザーからの質問などにも答えながらテレビ通販のごとく販売してゆく最新スタイルがホットです。
動画上には瞬間視聴数も表示され、誰かが購入したり番組をお気に入りに登録したりすると、その状況もリアルタイムに共有されます。臨場感があり、勢いのあるベテランバイヤーの弾丸トークについ煽られて購入ボタンをぽちっと押してしまいたくなる心理、中国語が分からなくても理解できるかもしれません。
専門「特色市場」
「特色市場」をいくつか覗いてみましょう。
淘宝自体は、個人向けに売買されているものの大部分が購入できる総合ショッピングモールです。そのうちのいくつかの注力販売カテゴリーについては特設ページが作られています。
特色市場のトップページは、それぞれのカテゴリーの商品を探すユーザーのニーズ・商品の探し方などに最適化されたレイアウトとなっており、ロゴも用意され独立した専門ショッピングサイトのような体裁になっていますが、飛んだ先の個別商品ページのレイアウトはほぼ共通です。
他とはかなり異なる作りになっていて、URLも異なるサイトも。
例えば内装・インテリアがテーマの「極有家」は、単に家具インテリア用品を販売しているだけではなく、内装設計などを手掛ける企業の事例紹介一覧などもあります。掲載されているのはかなりセレブで豪華なものが多いのですが、「我が家もこんなリビングにしたい」という欲求を強くかきたててくれることでしょう。
中国では、新築マンションは基本的に「内装なし」のスケルトン状態で販売され、住人がそれぞれ設計会社・施工業者と契約し、間取りを決め、壁紙からキッチン・バス回りなど内装工事を行うことになります(DIYのケースも)。同一マンション内であれば、ある程度間取りからキッチン・バス設備、壁紙までパターンが決まっている日本とは大きく事情が異なります。
マンション建設ラッシュがまだ続いている中国ではこの内装需要が高く、設計会社・施工業者のマッチングから建材・インテリアの販売までワンストップで行うのがこのサイトになります。単なる物販サイトではないことからURLも分けているのかもしれません。
他にも、応募して興味ある商品の無料・有料お試しができる「試用」や、ラーニングコンテンツの「淘宝教育」などもあります。
ぜひ一覧を見て、自社ビジネスに関連がありそうな特色市場を探し、研究してみてください。
商品一覧ページは絞り込み項目をチェック
取扱う商品点数が桁違いに多い淘宝では、商品一覧ページでの「絞り込み」を使いこなせるかどうかが、お宝探しの成否を決めます。絞り込み項目はカテゴリー毎に異なり、ユーザーニーズを満たす工夫も随所に施されています。
例えば化粧品で、毛穴ケアアイテムを探しているとします。「収縮毛孔」をクリックすると、関連商品の一覧ページにたどり着きます。
化粧品カテゴリーでの絞り項目は「品牌(ブランド)」から始まり、選ぶポイントはなにか、肌質、商品のタイプなど。「多選」とあるものは、複数項目にチェックを入れて絞り込むことができます。さらに産地などでの絞り込みも可能。どんなブランドがデフォルト表示になっているか、どういうタイプ分けになっているのかなど、貴重なデータの宝庫です。絞り込み項目に「日本最流行」というキーワードが入っている点も見落とせません。
「総合排序」では、並び方を「人気順」「売上数順」「信用順」などでソートすることができます。「人気」だけでなく「信用」があるあたりが中国ならではかもしれません。
商品一覧にも、ユーザーが判断基準とする情報が見やすくコンパクトに盛り込まれています。
「金」とあるのは、その店舗のランキングが「金牌」であることを示しています。これは店舗の格付けとしては最上位で、相当数の販売実績と評価を蓄積しないと得られないものであり、その実績を大切にしている店舗であるため、購入をめぐるトラブルの可能性は低く、またページ上の商品情報と実際に届く商品の間のギャップもさほど心配しなくて大丈夫という前提で買い物が可能です(そのギャップも評価基準のひとつになっている)。
金額の横には「○人付款」という文字列があります。「付款」とは「代金支払」という意味で、30日以内に支払いまで済んだ人の数が表示されています。クリックして個別商品ページに飛ぶと、そこには「交易成功」と書かれた、支払・商品配送まで完了した数字もでています。カーソルを合わせると30日以内に売れた数(未配送/その後返品になった数も含む)が表示されます。
商品Aと商品Bではどちらがより売れているのか。
より多く売れている商品はどれなのか。そんな比較・探し方も商品一覧ページ上でできるのが、ユーザーとしては非常に便利なところです。
もうひとつ便利な機能があります。
気になる商品画像の上にカーソルをあわせると、画像下部にオレンジ色背景で「找相似」というリンクがでてきます(「找」は探すという意味)。商品によっては「找同款」というリンクも並びます。これをクリックすると、類似した商品一覧のページ(「找同款」は複数の店舗が取り扱っている同じ製品の一覧)に飛びます。
どのようなロジックで「類似商品」判定になっているかまでは確認していませんが、確かに近いタイプの商品がずらり並び、数多くの商品データベースの中から目当てのものを効率的に探してゆく際に非常に便利な機能となっています。
アイコンもいろいろ。
例えば赤背景に黒猫の顔がちょろっと見えるアイコンは、それが「天猫」の取扱商品であることを、緑背景に「7」と数字の書かれたアイコンは、商品到着後7日以内であれば、理由を問わず返品が可能であることを示しています。「企」アイコンの商品は、売り手が企業の証です。
画像検索で、商品&商品パッケージ写真から探すことも
もうひとつ覚えておくと便利なのが「画像検索」です。
Googleではおなじみの画像検索が、淘宝でも実装されています。
これは私がスマホで撮影した美容ジェルの写真です。
淘宝の検索窓右端にあるカメラマークをクリックし、この写真をアップロードして商品を探してみましょう。
どうでしょうか。なかなかの精度ですよね。
この画像検索機能はスマホ版の淘宝アプリにもあり、訪日中国人がドラッグストア店内で写真を撮り、淘宝での価格や人気度、クチコミ情報を調べたりするのにも使われています。実際に使ってみた様子を動画で撮りましたので、見てみてください。精度はもちろんのこと、スピードもなかなかです。
「淘宝探索」を続けると、他にも日本のショッピングサイト・モールには実装されていない機能、中国ならではニーズに基づく掲載情報などがいくつも見えてくるはずです。Google翻訳なども活用しながら、いろいろいじってみてください。アカウント登録をし、ログイン状態で使えばさらに高度な機能も使えるようになります。
個別商品ページについては次回以降見ていきましょう。
和田 亜希子(Akiko Wada)
都市銀行、検索エンジン等を経て2001年独立。企業からの受託でクチコミを活用したマーケティング、アフィリエイト・プログラム導入運用支援などを行うかたわら、「東京ビアガーデン情報館」「台湾温泉ガイド」などの専門サイトを企画運営。主な著書「アフィリエイト・マーケティング実践マニュアル(翔泳社)」「ひとつの ブログで会社が変わる(技術評論社)」「ミニサイトをつくって儲ける法(日本実業出版社)」。
Weibo公式の中国向け広告コンテンツ拡散支援サービス「WEIQ(ウェイキュー)」は
中国向け越境ECや訪日中国人へのプロモーションに最適!
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<サービス詳細>
https://www.aainc.co.jp/service/weiq/
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