中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2019年7月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。
■618商戦は去年より好調。価格から商品選択へ
天猫の618の成果
11月11日の「独身の日/双十一」に次ぐセール「618」が到来した。618とは6月18日の意味で、この618がEC商戦となったのは、大手ECサイトの「京東(JD、ジンドン)」の誕生記念日という理由だ。京東がECセールをやろうとしたところ、他社も負けじとキャンペーンを行ったのがきっかけで、618セールは6月18日の一日で収まらず、毎年6月はじめから6月18日までECセールとなっている。
今年も好調で、京東は6月1日から18日までの売上が2015億元となり、去年の1592億元を上回った。また阿里巴巴の天猫や淘宝も様々な新記録を樹立した。ニューリテールや生鮮食品もよく売れた。また今年の消費の傾向としては、値引き商品を探すよりも、欲しいものを安く購入しようという動きがある。新しい良いものを購入しようという動きが強く、あまり紅包やタイムキャンペーンで消費者はあまり動かなかったと複数のメディアが報じている。
■大手家電「蘇寧」、カルフール買収で中国全土にニューリテール拡大
蘇寧のニューリテールコンビニ「蘇寧小店」
大手家電量販店「蘇寧易購」が、カルフールの中国法人を48億元で買収した。蘇寧電器は、日本ではラオックスを買収したことで知られる。またカルフールは中国全土に長くスーパーを展開している。蘇寧電器がカルフールを傘下に収めることで、ニューリテール戦略を加速する。
蘇寧電器とカルフール、沿岸部の大都市から内陸部の地方都市に至るまで多数の店舗を展開している。買収により、ネットスーパーで注文し店舗から迅速に市内に配送する範囲が広くなり、中国全土の都市で実用的なニューリテールサービスを提供できるようになる。
一方でカルフールは以前から展開していることから、昨今に登場したニューリテールのスーパーなどに比べれば古臭さは否めず、カルフールにもはや価値はないと評するメディアも。
■テンセント、短時間のドラマ「火鍋劇」を強化
騰訊(テンセント)が提供する、中国で最も人気の動画共有サービス「騰訊視頻(テンセントビデオ)」で、「火鍋劇」と呼ばれる、1話あたりの時間が1~10分程度と短時間のドラマを強化する。騰訊はビュー数に応じて、報酬を与えるという。
1話あたりが短い時間のドラマは「火鍋劇」が初めてではなく、これまで「泡面劇」と呼ばれてきた。「泡面」はカップラーメンの意味。
■シェアライドのDidiから、他の配車サービスも利用可能に
シェアライド最大手の滴滴(Didi)から、滴滴以外のシェアライドの車が呼べるような仕様とすることを発表した。中国自動車企業の広州汽車、東風汽車、第一汽車などの運営するシェアライドの企業が滴滴のプラットフォームに参加するとしている。ユーザーとしては、これによりシェアライドに必要なアプリを減らすことができる。
5月には、中国最大の口コミ・チケット・デリバリーサービスである「美団」のシェアライドにおいて、首汽約車、曹操専車、神州専車といった競合他社のシェアライドが利用可能になっており、滴滴の機能追加にはその影響があるとしている。
■ゴミ分別が開始され様々なネットサービスが登場
左:ごみ分類教育アプリ
右:どのゴミに分類するかチェックするアプリ
7月に上海でゴミの分別がはじまることから、6月からゴミの分別についてニュースで報じられるようになった。その中にはゴミ分別教育アプリや、スマートフォンのカメラでどのゴミに分別するか教えてくれるアプリ、IoTを使った新型スマートゴミ箱の披露、ゴミ捨て代行業務など、様々なゴミ分別のサービスも含まれる。
上海ではじまったが、中国政府の政策によれば2019年よりスタートし、2020年末には46都市でゴミ分別処理システムが完成し、2025年前には地方都市をもカバーすることを目標としている。
■ofoの財産が尽きた、と裁判所
黄色の車体が特徴のシェアサイクルのofoに対して、自転車メーカーの天津富士達は2億5000万元の支払いを請求していたところ、裁判所は「ofoには既に財産が尽きていて、土地使用権も不動産も対外投資も車両もない」とする天津高等裁判所の裁判文書が明るみに。ofoの管理職数人が借金踏み倒しに認定された。
一方で四川省成都などで、利用できなくなったofoの車両が1台15元で買い取られるという動きも。この事象に対し、ofoは「一部の事象にすぎず利用できる」とコメントしている。
一時期話題となったシェアサイクルが終わるかというとそうでもなく、白と青の車体が特徴のシェアサイクル「HelloBike」については、阿里巴巴(アリババ)系のアントフィナンシャルが6回目の投資を行うことを発表した。
画像:ofoはまだ使える車両はあるようだ
■小米、度重なる”パクリ”が問題に
6月末、小米が新たに追加した絵文字機能「Mimoji」の一部のスタンプのデザインが、アップルの「ミー文字」にそっくりだと話題となった。小米は「それが事実であれば謝罪する」とコメントした。
同じく6月には小米のスペイン語サイトで芸術家のPeter Tarka氏の作品を勝手に利用したことが問題に。こちらについては問題が発覚したのち問題を認め、問題のコンテンツを削除するとともに数名のスタッフを解雇したと発表した。
画像:アップルのmemojiにそっくりといわれた小米のmimoji
■中国政府、5Gライセンスをキャリア4社に交付
6月、中国政府の情報産業省にあたる工業和信息化部は、中国電信、中国移動、中国聯通、中国広電の4社に対し、5Gの商用ライセンスを交付した。端末についてもZTEやファーウェイなどが発表した。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
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