中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2019年3月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。
■2018年の中国EC小売は9兆元で日本市場の約8倍に
中国政府商務部は2018年の中国EC小売市場が9兆元(約144兆円)を超えたと発表した。このうち電子商品を除く、物販の取引額は前年比25.4%増の7兆元(約112兆円)だという。比較参考までに経済産業省による日本の状況を紹介すると、2017年におけるB2C市場取引は16.5兆円、ネットオークション市場規模は1兆1200億円であることから、中国のEC市場は日本の約8倍の規模がある。
スマートウォッチやスマートテレビやスマートスピーカーや翻訳機などのスマート製品が元気でそれらの前年比80%増となった。化粧品は同36.2%増、食品は33.8%増、家具は30.1%と増加した。農産品の販売額は33.8%増の2305億元(約3兆6880億円)。全体から見れば少ないが、農村EC販売者は急速に増えているとしている。越境ECの輸出入総額は50%増の1347億元(約2兆1550億円)。
TikTokのような各種ショートムービーサービスを活用したり、微信(WeChat)などのミニプログラムを活用するといったソーシャルバイヤーは1億7000万人いるという。
なお国家郵政局によると、2018年の宅配便取扱個数は25.8%増の505億個、市場規模は21.2%増の6010億元となっている。日本は国土交通省の発表によると宅配便取扱個数は42億5100万個であった。宅配個数ベースでは10倍以上の差となっている。
■中国インターネットユーザー数は8億2851万人に
モバイルインターネットユーザー数の推移(CNNIC)
CNNIC(China Internet Network Information Center)の定例インターネット統計が発表された。2018年末時点でインターネットユーザー数は8億2851万人。そのほぼ全てがスマートフォンなどのモバイル機器(とパソコン)から利用している。1年間で5633万人増加し、普及率は全人口の59.6%となった。
利用用途別の利用者は以下のようになった。特にショートムービーとオンライン教育の利用者が顕著に増加した。
・インスタントメッセンジャー:7億9172万人(インターネットユーザーの95.6%が利用。以下同)
・検索:6億8132万人(82.2%)
・ニュース:6億7473万人(81.4%)
・ショートムービー:6億4798万人(78.2%)
・動画サイト視聴:6億1201万人(73.9%)
・オンラインショッピング:6億1011万人(73.6%)
・支払い:6億40万人(72.5%)、このうちスマートフォンによる支払い:5億8958万人
・音楽視聴:5億7560万人(69.5%)
・オンラインゲーム:4億8384万人(58.4%)
・オンラインバンキング:4億1980万人(50.7%)
・旅行予約:4億1001万人(49.5%)
・フードデリバリー:4億601万人(49.0%)
・ライブ動画配信:3億9676万人(47.9%)
・微博(Weibo):3億5057万人(42.3%)
・配車サービス:3億3282万人(40.2%)
・タクシーの配車サービス:3億2988万人(39.8%)
・オンライン教育:2億123万人(24.3%)
・投資:1億5138万人(18.3%)
■大規模情報漏洩、何件も発生
オランダのセキュリティ研究員のVictor Gevers氏は2月中旬、中国の有力顔認識企業「SenseNets(深網視界)」の256万人の個人情報が漏洩していたしていたことを明らかにした。同氏によれば2018年7月から誰もが同社データベースにアクセスできる公開の状況であったとし、680万地点で記録された身分証番号をはじめとした身分証情報や、性別、住所、生年月日、写真、24時間以内の位置などが漏洩した。同氏は氏のツイッターアカウントで漏洩事件を発表し、中国メディアはそのツイートのキャプチャを引用し事件を紹介した。
続く3月にVictor Gevers氏は、別の180万人を超える中国に関するデータベースがみられることをツイートした。そのデータベースでは、女性の住所、電話番号、生年月日、学歴、生育可能の可否についてが登録されていた。
中国では滴滴でのドライバーによる女性乗客への暴行殺人事件以降、個人情報の漏洩にはナーバスになってきているようだ。
■学校の宿題をWeChatで連絡することを禁止に
宿題のスマホ活用にストップを報じる新聞
これまで中国の学校では、学校の宿題を先生から保護者に微信(WeChat)やQQなどのインスタントメッセンジャーで送る習慣があった。保護者と教師と学生は同一の微信グループに入ることが当たり前で、グループでの宿題の指示や宿題の提出は当たり前にある。それらを「過度の電子化」として中国政府教育部はストップをかける。
この理由として、学生が微信での連絡を見るといいながら微信のミニプログラム(微信から起動するクラウドアプリ)で遊んでしまうことや、学生自身が宿題を学校でメモし自身で宿題を行うことをしなくなることで自立できなくなってしまうことを挙げる。また2月中旬には浙江省や福建省の教育庁が中国全土よりもさらに厳しい基準でスマホアプリを利用した宿題のやりとりを禁止した。
■2019年の春節は中国のTik Tok(抖音)が台風の目
春節での抖音での家族系投稿
2019年の春節に関する各種データによれば、微信で紅包(金一封)を送りあい、新年のあいさつをして盛り上がるのはもちろんのことだが、中国のTik Tokこと「抖音(ドウイン)」が台風の目になった。
春節前から抖音は、「美好音符年ーー集音符分5億」という、スタンプラリーのようなキャンペーンを行い、その成功者6114万ユーザーに計5億元の紅包をプレゼント。春節前夜の人気番組の中国版紅白歌合戦「春晩」になれば、抖音上の関連動画が247億回再生された。また春節は家族親族が集まるイベントだけに、家族で撮影するショートムービーや、中高年が撮影したショートムービーが急増した。そのほか爆竹や食事やダンスや初詣などのショートムービーも多数撮影されアップされたという。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
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