中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2019年2月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。
■新たに対微信の3つのチャットアプリが登場も不発
1月15日に「多閃」と「聊天宝」と「馬桶MT」という3つのチャットアプリがリリースされた。いずれも異なる企業による対微信(WeChat)のチャットアプリで、多閃は「TikTok」で知られるバイトダンスCEOの張一鳴氏が、聊天宝は以前は「子弾短信」と呼ばれたもので、スマートフォンのSmartisanの羅永浩氏が、馬桶MTはかつてP2Pに対応した動画プレーヤー「快播」を出した王欣氏がリリースした。
「TikTok」で知られるバイトダンスCEOの張一鳴氏がリリースした「多閃」
「子弾短信」改め「聊天宝」はSmartisanが開発
かつての中国での人気ネットサービスの立ち上がりがそうであったように、利用すれば金一封がもらえる仕掛けを3社とも用意したが、新規チャットアプリインストールの盛り上がりは2月頭で完全に鎮静化した(リリース当日しか盛り上がらなかったというデータもある)。2月頭といえば春節があり、家族親族が集い、新しいアプリを導入したりインタラクティブな広告に触れ会話を楽しむなど、新たなアプリがインストールされるタイミングである。その春節でアプリが3サービスともそれほどインストールされることなく、テンセント(騰訊)の微信の牙城を切り崩すことはできなかったようだ。
「聊天宝」は発表直後は人気だとアピールしていた
ちなみに3つの新サービスに飛びついた人は、北京上海広州深センといった大都市で、25歳から34歳の間の若い社会人が多いという分析が出た。
■紅包が無限にとれるバグが話題となり、一攫千金求めて人が集まる
1月20日、ECサイトのピンドゥオドゥオで無限に同サイトで利用できる100元チケットが取得できるバグが利用者により発見され話題となった。バグ発見後、修復まで9時間かかり、その間にバグを活用した利用者らにより、数千万元分チケットが利用された。
この後、微博(Weibo)のアルファブロガーが、このバグ発見に「損害は200億元(約3200億円)以上」とツイートをし、さらに大手サイトの新浪が「同サイトの1日の売上げ338億元のうち、263億元がこのキャンペーン祭りによる通話料へのチャージだった」と報道したが、デマ認定された。
なお、キャンペーンのチケットなどで稼ごうとするネットユーザーは「羊毛党」と呼ばれる。前述の新しいチャットサービス「聊天宝」もまた、キャンペーンの1回の利用で数百万元の現金が得られるバグが発見され、羊毛党が集まり500万元を超えるバーチャルマネーが得られた人も登場し話題となった。が、聊天宝サイドはバグと認めた上で、キャンペーンは終了し、配布した金も自動返金処理を行っている。
「聊天宝」でもキャンペーンの1回の利用で数百万元の現金が得られるバグが発見された
■スマートフォンの売れ行きが鈍化。人気減のiPhoneは価格改定
左:極光大数据による所有するスマートフォンのメーカーシェア
右:極光大数据による所有するスマートフォンの機種分布
スマートフォンの売れ行きが去年に比べて減っている。調査会社のIDCによると、2018年のスマートフォン出荷台数は前年比10.5%減の3億9770万台となった。以前は四半期の3カ月間で中国向けに1億台以上の出荷台数を記録していたが、1億台を切り、年間で4億台を切るようになった。
シェアランキングでは、ファーウェイがシェアが26.4%で最も高く、以下OPPO(19.8%)、vivo(19.1%)、小米(13.1%)、アップル(9.1%)となった。サムスンやレノボなどから中小のメーカーまでを含めた「それ以外のメーカー」については、2017年が1億810万台に対し、2018年は4950万台と半分以上減少した。
出荷台数ナンバー1のファーウェイの店舗
メーカーではiPhoneの販売台数減少が顕著だ。2018年のiPhoneの中国向けの出荷台数は、前年比11.7%減となる3630万台となった。また2018年第4四半期は前年同期比19.9%減の1180万台となった。「Appleは中国市場の割合が大きく、中国市場で支持されなくなっている」という報道もある中で、一部機種の中国向け販売価格を1000元(約16000円)引き下げる価格改定を行い、利用者を獲得しようとしている。
一方で利用端末の実態からみれば、iPhoneはまだまだ利用されている。調査会社の極光大数据の調査結果によると、2018年10~12月のスマホブランド保有率は、iPhone(21.0%)と最も高く、以下ファーウェイ(20.9%)、OPPO(19.3%)、vivo(15.2%)、小米(9.7%)となった。iPhoneの機種別では、iPhone 7(Plus)や、iPhone 6(6s, 6s Plus)の利用率が高く、買い替えをせず使い続けているユーザーがいることがわかる。
iPhoneより中国で売れたというファーウェイのHonorブランドのショップ
■小米、家電大手TCLに投資。スマート家電時代到来か
スマートフォンなどで知られる小米は、家電大手のTCLへの投資を行う。投資額は発行株数の0.48%にあたる1億6000万元。小米CEOの雷軍氏によると、これにより家電業務を強化したいとしている。
小米はスマートフォンやタブレットのほか、スマートテレビ・加湿器・炊飯器・スマートホーム製品・スマートウォッチなどをリリースするなど、スマート家電に積極的に取り組んでいる。中国全土の都市を中心に、リアルショップ「小米之家」を展開していることから、ヘビーユーザー以外の一般消費者に対してもスマート家電の認知させ普及させようとしている。TCLとの提携から、AV家電や白物家電を発売し、今後小米之家でテクノロジーにはそれほど関心を持たない層にもスマート家電を認知させ、普及させていくのだろう。
■テンセント系調査グループ、中国ネット都市ランキングを発表
テンセント系の調査グループ「企鵝智庫」は、中国各都市のインターネット産業や普及を指数化したレポート「新一線都市互聯網生態指数報告(2019)」を発表した。移動やショッピングなどの「生活服務指数」と、インターネット産業や物流効率やネット回線速度などの「基礎産業指数」と、SNSやゲームなどの利用状況「氾娯楽指数」と、フィンテック利用状況「金融服務指数」から各都市の状況を数値化した。
左:インターネット都市ランキング
右:ジャンル別都市ランキング
調査結果では北京がトップ、次に上海と深センと成都と広州が続いた。またジャンル別ランキングでは、「生活服務指数」は上海・北京・杭州、「氾娯楽指数」は北京・上海・重慶、「金融服務指数」は北京・上海・深セン、「基礎産業指数」は北京・上海・深センとなった。
中国を調査しにいったり、ある分野に特定した都市を見に行きたいなら、この指数は一つの指標になるだろう。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
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