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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年4月号】

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年4月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!

日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。

 

 

■「Tik Tok(抖音)」が「淘宝網」と連携。動画から商品ページに飛べるように

 

 日本では「Tik Tok」の名で知られる「抖音」のショートムービー(中国語で「短視頻」)コンテンツから、直接ECサイトの淘宝網の商品ページに飛べるようになった。これによりインフルエンサー(中国語で「網紅」)がショートムービーで商品を紹介し、誘導することができるようになった。「Tik Tok」は若者、特に女性が多く利用するからか、女性向けの偽ブランドカバンや手作り化粧品など、問題ある商品が多数販売されることになった。今でこそ問題はあるが、これまでの中国インターネットサービス普及の流れからすれば、不良コンテンツが一掃されたのち、優良商品と魅力的な動画コンテンツがコラボが期待できよう。

 Tik Tok中国版こと「抖音」は春節期間中に最高で3000万DAUまで、日間アクティブユーザー数は6646万までそれぞれあがった。有名なチェーン店の「海底撈火鍋」が火鍋の食べ方をお題に面白動画を募集して話題になるなど、撮る対象はセルフィ―から拡大している。

 

TikTokと連携する淘宝網

TikTokと連携する淘宝網

 

 

■薬剤師と資金不足の薬局を「信用スコア」と「シェア薬剤師」でテコ入れ

 

 アリババ(阿里巴巴)のグループ会社の「阿里健康」が、シェア薬剤師プラットフォームをリリースした。中国では年間に20万人が薬の過剰摂取で死亡しているという調査結果もあり、中国の規定で「1店舗に2人薬剤師が必要」としたものの、中国全土の薬局が44万8000店に対し、薬剤師は34万人と、薬剤師不足が社会問題となっていた。そうした中、シェア薬剤師プラットフォームは、薬剤師不足を解消すると期待されている。

 シェア薬剤師プラットフォームは専用アプリから利用し、国家資格を持つ薬剤師が情報提供者として登録でき、一方薬剤師が不足する薬局は、アプリで薬剤師に質問することができるというもの。

 またアリペイ(支付宝)をリリースするアントフィナンシャルは、同社の信用スコアシステム「芝麻信用」でスコアが高い信用できるユーザーに対し、デポジット無しで医療機器をレンタルできるサービスの提供を開始した。

 中国の薬局は7割が体力がない中小チェーン店であり、インターネットの恩恵を受けなかったが、アリババとアントフィナンシャルによるソリューションで徐々に業界全体が変わっていくことが期待されている。なお数年前からアリババ(阿里健康)とアントフィナンシャルは医療方面の取り組みを開始している。

 

薬剤師と資金不足の薬局を「信用スコア」と「シェア薬剤師」でテコ入れ

 

 

■中国政府、データ通信料金を3割以上値下げを公約

 

中国政府、データ通信料金を3割以上値下げを公約

 全人代で発表された「2018年政府工作報告」によれば、データ通信料金を年内に3割以上値下げするという。中国の政策を受けて、データ通信料金は徐々に低下、昨年夏にはチャイナユニコム(中国聯通)が、中国初の中国全土データ通信無制限プラン「氷激凌(中国語のアイスクリームと同音異義)」をリリースしている。結果として2年間でデータ通信料金は7割程度下落したという報告もある。外でデータ通信を気にせずできるようになったことからショートムービー(短視頻)やHTML5コンテンツや微信向けミニプログラムなどのデータ通信が必要な各種サービスの利用が伸びた。

 中国の政治システムから確実に年内に3割以上データ通信料金が値下がりし、結果として動画などのリッチコンテンツの利用や、アプリダウンロードの普及がさらに進み、広告のスタイルはよりリッチコンテンツにシフトしていくだろう。

 また全人代では、産業用インターネットの開発と普及促進を進めることを再度強調した。これについては先月号で触れてはいるが、政府の強い号令のもと、各省や各企業が動く関係で、今年は工業向けIoT製品の開発や、それを導入した自動化工場の一定の普及などさらに大きな動きがみられることだろう。

 

 

■ECサイト「pin多多」、一気にブレイクし第2のECアプリに

 

 上海尋夢信息技術の「pin多多(pinの字は手偏に并)」というECアプリが一気にブレイクしている。ECアプリ利用率で京東を超え、天猫(Tmall)も利用できる淘宝(Taobao)に続く2位にまで浮上した。また同サービスは2015年9月にスタートし、2年3か月でGMV(Gross Merchandise Value:総流通総額)で1000億元を突破した。これは淘宝網の5年、京東の10年と比べてもハイペースの成長だ。 微信(WeChat)内アプリ「小程序(ミニプログラム)」においても、ゲーム以外では最も使われるアプリとなっている。

 このpin多多の特徴としては、先行する淘宝網や天猫や京東が高品質路線に向かっている中で、低価格な商品が中心のラインアップと低価格を実現するためのまとめ売りを行うということと、地方都市の消費者を狙っているという点と、微信との親和性が高く、ソーシャルで商品を紹介するソーシャルコマースにより広告費を抑えられて低価格大量販売を実現したということが挙げられる。

 

ECサイト「pin多多」、一気にブレイクし第2のECアプリに

写真左:安さと微信との連携が魅力のPin多多
写真右:Pin多多では激安キャンペーンがよく目を引く

 

 

■アリペイが中国国内の一部店舗で利用不可に

 

 アリババ陣営でアントフィナンシャルのアリペイ(支付宝)が、一部地域のウォルマートで使えなくなった。またスーパーなどリアル店舗を展開する歩歩高でも利用できなくなった。これまでどこでもアリペイかウィーチャットペイ(微信支付)の両方とも使える状況であったので、不便になったわけだ。

 この背景はテンセント(騰訊)とアリババ(阿里巴巴)がともに、「新零售(ニューリテール)」と称してリアルとネットの融合を進める中で、両社それぞれが続々とリアルショップを運営する巨大企業と提携を結んでいることにある。

 中国メディアの国際金融報の報道によれば、スターバックスにアリペイが導入された9か月後にようやっとウィーチャットペイが導入された過去があり、テンセントのスタッフは「アリペイ側が初めに仕掛けたこと」とコメントしている。アリババとテンセントが投資で囲い込んでいるリアルショップチェーンは他にも数多くあり、一方で個人商店や中国各地の中小チェーンは無数にあるので、すぐにアリペイかウィーチャットペイのどちらかしか使えない店ばかりになるわけではないが、この一面では便利になっていた中国の環境がだんだんと不便になっていくかもしれない。

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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