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中国IT最大手のTencentらが中国のSNS世代にリーチするマーケティング手法を解説!「China SNS Marketing Day 2017」セミナーレポート

チャットツール「WeChat(ウィーチャット)」などを手掛け、中国最大の時価総額を誇るTencent(テンセント)社や、日本と中国を物流でつなぐ取り組みを進めている全日空グループなどが登壇し、中国SNSマーケティングの最新動向や越境ECのノウハウを解説したマーケティングイベント「China SNS Marketing Day 2017」をレポート!

 

 

Tencent Holdings Ltd. Tencent Tui Channel Director 胡 佳晶 氏

Tencent Holdings Ltd.
Tencent Tui Channel Director 胡 佳晶 氏

 

 

日本企業が中国でマーケティングやプロモーションを行う上で、ソーシャルメディアの重要性が急速に高まっています。オンライン広告は従来のマス広告を凌ぐ規模に成長。SNSの普及に伴い、ネット上のインフルエンサーを起点としたクチコミが消費者の行動に強い影響を与えるようになりました。中国本土での事業展開や日本から中国へ越境ECを行う際、有効なソーシャルメディアマーケティングとはどのような施策なのでしょうか。

 

 

■当日のプログラム

 

開会挨拶 アライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村壮秀氏

第1部 Tencent広告プラットフォーム「Tencent Tui」の中国本土における活用方法
スピーカー:Tencent Holdings Ltd. Tencent Tui Channel Director 胡 佳晶 氏 

第2部 テンセントソーシャルプラットフォームの活用法
インバウンドと越境ECでどのように利用すべきか
スピーカー:Tencent Japan合同会社
International Business Group Business Manager 中島 治也 氏

第3部 日本企業向けTencent広告メニューの紹介
スピーカー:アライドアーキテクツ株式会社 事業企画室 副室長 番匠 達也 氏

第4部 ゲストスピーチ「すべてが進化!中国越境ECの最前線」
スピーカー:株式会社ACD メディアマーケティング部 クリエイティブディレクター 玄 杰 氏

 

 

中国現地のSNSを活用することが不可欠

イベントの冒頭、挨拶に登壇したアライドアーキテクツの中村社長は、中国のGDPが日本の2倍以上に拡大し、EC市場は6倍以上の91兆円に達していることに触れ、「中国市場はさらなる成長が予測されている。中国で成功する方法を今見つけられれば、今後大きく成長できるはず。今日は、そのきっかけをつかむための1日にしていただきたい」と力強く語りかけました。

また、中国ではFacebookやTwitterなどが使えないことから、ソーシャルメディアマーケティングを行うには「WeChat(ウィーチャット)」や「微博(ウェイボー)」など現地のSNSを活用することが不可欠だと指摘。テンセント社など中国のソーシャルメディアマーケティングに精通した企業を招聘した意義を強調しました。

 

アライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村 壮秀 氏

アライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村 壮秀 氏

 

 

Tencent広告プラットフォーム「Tencent Tui」の中国本土における活用方法

  第1部ではTencent社の胡 佳晶 氏が登壇し、同社が提供するソーシャル広告プラットフォーム「Tencent Tui」を活用して、中国の潜在顧客にアプローチする方法を解説しました。

 

Tencent Holdings Ltd. Tencent Tui Channel Director 胡 佳晶 氏

Tencent Holdings Ltd.
Tencent Tui Channel Director 胡 佳晶 氏

 

まずはTencent社の概要について簡単に触れておきます。同社は1998年11月設立。約9億人が利用しているチャットツール「WeChat」を始め、ポータルサイトや動画、ゲーム、SNS、ニュースサイトなど幅広い事業を手掛けています。

 

Tencent Holdings Ltd.の事業領域

Tencent Holdings Ltd.の事業領域

2016年の売上高は前年比47.7%増の1520億人民元。時価総額は約2710億ドルでIT企業としては世界第4位です(3/23時点)。

 

 

売上は急拡大している

売上は急拡大している

 

「Tencent Tui」は同社が手掛けるニュースサイトやチャットツール、ゲーム、SNSといった媒体を集約し、ビッグデータを活用して広告を配信するプラットフォーム。パソコン、スマホ、タブレットなど多様なデバイスに対応し、「@フィード広告」「スプラッシュスクリーン広告」「インストリーム広告」など豊富な広告メニューを持ち、ビッグデータでターゲティングして広告効果を高めていきます。

ユーザー一人一人の行動情報に基づいてセグメントを行うため、広告配信のターゲティング精度が高く、PDCAを回すことで費用対効果を高めていくことができることも特徴。1日あたりの総リーチ数はプラットフォーム全体で40億件に達しているそうです。

 

 

ニュースサイトやチャットツール、ゲーム、SNSといった媒体を集約し、ビッグデータを活用して広告を配信する

ニュースサイトやチャットツール、ゲーム、SNSといった媒体を集約し、ビッグデータを活用して広告を配信する

 

 

Tencent Tuiが網羅しているサービス

 

・「WeChat」(チャットツール) チャット、SNS、オンライン決済などの機能を備えた「WeChat」は中国で最も多く使われているスマホアプリ。ユーザー数は世界累計11.2億人、MAUは4.6億人。

・「テンセントニュース」(ニュースアプリ) DAUやMAUが中国のニュースアプリで1位。カバー率、信憑性、影響力、伝達影響力、UX、深み(考察力がある)、ロコミといった指標も業界をリードしている。

・「天天快報」(ニュースアプリ) 「WeChat」やQQの公式アカウントが発信している情報をキャッチし、ユーザーの興味に合わせて配信するニュースキュレーションアプリ。2015年9月のリリースから4カ月でユーザー数が1億人を突破。

・「テンセント動画」(動画配信プラットフォーム) 1日の再生回数20億回。DAUやMAUは業界1位。さまざまなオリジナル動画も作成している。

・「スマホ版QQブラウザ」 テンセントが開発した新世代スマホ版ブラウザ。MAU2.3億人、1日のアプリ起動回数は8回、1日の平均利用時間は37分。

・スマホ版QQ.COM スマホ版テンセントのポータルサイト。スポーツ、エンタメ、経済など23種類のコンテンツを配信。1日あたりのニュースリーチ量は10億以上。

・QQ.COM パソコン版のメディア。ニュースユーザーの70%以上をカバー。1日あたりのアクセス数は1.5億人。

 

 

中国ではインターネットによる情報リーチがテレビを上回る 中国のネットユーザー数は7.31億人(2016年12月時点)に達し、インターネットの「使用時間」「使用頻度」「利用者数」はテレビや新聞、雑誌よりも高いことを示す調査結果を紹介した上で、「中国ではインターネットの広告媒体としての影響力が急速に高まっている」(胡氏)と指摘しました。

また、インターネットユーザーのスマホ利用率は95%と非常に高く、通勤中や昼休み、就寝前など日常生活のあらゆるシーンにインターネットが浸透していると説明。「ユーザーが接触するサービスが多岐にわたる現在、複数のインターネットプラットフォームを活用して広告をユーザーに届けることが重要」と強調しました。

 

 

 

「Tencent Tui」の成功事例

「Tencent Tui」を活用して中国ビジネスに取り組むサムスン電子や化粧品企業の成功事例を紹介しました。

 

事例1 サムスン電子

サムスン電子はECサイトの売り上げを拡大するため、広告配信アクションプランの最適化を実施した。自社サイトで蓄積したデータや外部データを活用し、コンピューターやノートパソコンに興味を持つユーザーを特定。個人の収入や興味関心に合わせてキャッチコピーを最適化するなど、広告のパーソナライゼーションを行った結果、リーチ数と売り上げが大幅に伸びた。

「Tencent Tui」の成功事例:サムスン電子

 

 

 

事例2 化粧品会社

韓国コスメやビューティーに関心が高いユーザーに限定してブランドプロモーションを実施。主要都市部における露出度合38%を達成し、他のメディアDSPと比べてCPCが半減した。

「Tencent Tui」の成功事例:化粧品会社

 

 

事例3 ゲーム会社

アプリのインストール促進と、課金促進を実施したところ、「Tencent Tui」を通じて獲得した顧客の課金率は平均と比べて3~5倍高く、課金継続率も3~5%高かった。

Tencent Tui」の成功事例:ゲーム会社

 

   

テンセントソーシャル広告プラットフォームをインバウンドと越境ECでどのように利用すべきか

  第2部では、Tencent Japanの中島治也氏が「Tencent広告プラットフォーム」をインバウンドや越境ECに活用する具体的な方法について成功事例を踏まえて解説しました。

 

 

WeChatのインバウンドへの活用事例

 

Tencent広告プラットフォームは「認知向上、ファン獲得、ブランドマネジメント、CRM、決済までワンストップで行える」(中島氏)と説明しました。

 

 

Tencent Japan合同会社 International Business Group Business Manager 中島治也 氏

Tencent Japan合同会社 International Business Group
Business Manager 中島治也 氏

 

例えば「WeChat」をインバウンドのマーケティングに活用する場合、訪日中国人観光客に対して、来日前に広告でサービスを告知し、ブランド認知を獲得します。日本滞在中は「WeChatPay」を使って決済し、企業アカウントへの登録を促し、帰国後のセカンドマーケティングと越境ECへとシームレスにつなげることが可能です。

「旅行前に認知や関心想起を行い、旅行中の決済から帰国後の会員化までワンストップで行うことができる」(中島氏)。

 

マーケティグから集客、決済、会員化、越境ECまで実現する

マーケティングから集客、決済、会員化、越境ECまで実現する

 

電子決済サービス「WeChatPay」は、ネットショッピングはもちろん、小売店、病院、ホテル、飲食店、公共料金などでの支払い、さらには個人間の少額送金など、ライフスタイルのインフラとして機能していることを説明しました。「WeChatPay」は中国におけるスマホ決済の市場シェアで約40%(2016年12月時点)を占めているそうです。

 

そして、インバウンド需要などに対応した「越境WeChatPay」は、中国人観光客が日本で買い物をする際、店頭でQRコードやバーコードをスマホで読み取り、その場で決済するサービス。支払いは人民元で店舗への入金は日本円。支払いを行った際、ユーザーは自動的に企業アカウントをフォローする仕組みのため、「帰国後もユーザーとのつながりを維持でき、セカンドマーケティングを行える」とメリットを説明しました。日本企業でもすでに大手百貨店や家電量販店、タクシー大手などが導入しているそうです。

 

「越境WeCahtPay」の仕組み

 

「越境WeChatPay」の仕組み

 

 

チャットやSNS、決済など、さまざまな使われ方をしていることを説明。ソーシャルフィード機能を備えたモーメンツ(タイムライン)を1日に複数回閲覧しているユーザーは84%に達しており、「SNSとしても利用されている」と説明しました。

 

Weixin/WeCahtのデモグラフィックデータ

 

Weixin/WeChatのデモグラフィックデータ

 

 

 

ブランディングや集客の広告手法の具体例

  中島氏はブランディングや認知向上、集客を効果的に行うツールとして、微信(Weixin)のバナー広告やモーメンツ広告、QZONEのフィード広告などを解説しました。

 

1. 微信(Weixin)のバナー広告

 

企業アカウントやニュースサイトなどの公式アカウント内にバナー広告を掲載する。例えば、旅行系ニュースサイトの公式アカウント内に旅行会社のバナー広告を掲載することができる。

 

バナー広告の事例

バナー広告の事例

 

 

2. 微信(Weixin)のモーメンツ広告

 

モーメンツ(タイムライン)にネイティブフォーマットの広告を掲載。フィードに馴染むデザインなのでユーザーにとって自然な体験で広告を表示できる。「Like」や「コメント」をつけることも可能で、ソーシャルでの拡散も期待できる。

 

微信(Weixin)のモーメンツ広告の概要

微信(Weixin)のモーメンツ広告の概要

 

 

 

3.QZONEのフィード広告

 

中国最大のモバイルソーシャルネットワーク「QZONE」のソーシャルフィードに広告を出稿。画像と動画のフォーマットをカバーしている。Likeやコメント、シェアの機能を備えている。

 

QZONEのフィード広告の概要

QZONEのフィード広告の概要

 

中島氏は、「弊社のサービスは中国インターネットユーザーのほぼすべてをカバーしているのが強み」と述べ、「中国向けマーケティングのゲートウェイになっている」と自信を示しました。

さらに、中国のECユーザー4.48億人のうち、約70%がモバイル経由であるとのデータを紹介した上で、「スマホ時代は購入の意思決定までのリードタイムが短い。潜在カスタマーの興味関心を継続的に引きつつ、コンバージョンのタイミングを逃さないことが重要」とマーケティングのポイントを解説。

ユーザーとのつながりを維持するチャネルとしてソーシャルを利用することが重要であり、ユーザーへの「認知向上」から「コンバージョン」までを一つのプラットフォームで実現できると強調しました。

 

 

Tencent広告プラットフォームの強み

 

・ECデータとソーシャルデータを組み合わせることで、精緻なユーザーターゲティングが実現し、投資効果を最大化する

・スマホファーストに対応しており、ユーザーと日々コミュニケーションを図りながら、ECが結合することによっていつでも消費行動を啓発できる

・認知獲得から購買まで全てのマーケティングステップがプラットフォーム内で完結する

 

Tencent広告プラットフォームの導入事例「SK-II」

中島氏はTencent広告プラットフォームを利用している化粧品ブランド「SK-II」の事例を紹介しました。

「SK-II」はハイエンド商品のためターゲット層が狭いため、テレビCMなどマス広告の効果に限界を感じていたそうです。また、「売上」「エンゲージメント」「ファン増加」を両立するプロモーション施策も模索していました。 こうした課題を解決するため、顧客をステージ別に分類してプロモーションを実施。

①過去1年間にJD.COMで購入履歴がある顧客
②自社公式アカウントにLIKE、コメント、シェアを実施したことがあるユーザー
③プロモーションに起用したタレントのファンーーという3種類に分けました。

そして、①に対してモーメンツ広告でショップへ誘導する販促キャンペーンを実施。②③に対してはモーメンツ広告からキャンペーンサイトに誘導し、タレントが出演する動画を見せてから公式アカウントのフォローを促すなどインタラクティブな広告によるエンゲージ向上を図りました。

その結果、1日の売上高が過去平均の6倍に達したほか、1日のフォロワー増加数が過去2ヶ月分に相当するなど、高い成果を上げたそうです。

 

購入履歴がある顧客は、モーメンツ広告でショップへ誘導

購入履歴がある顧客は、モーメンツ広告でショップへ誘導

 

購入履歴がないユーザーは、モーメンツ広告からキャンペーンサイトに誘導し、公式アカウントのフォローを促進した。

購入履歴がないユーザーは、モーメンツ広告からキャンペーンサイトに誘導し、公式アカウントのフォローを促進した。

 

 

中島氏は「SK-II」の事例から、①ブランドの訴求点を明確にしておくことで狙うユーザー層をはっきりと定義できる②データ融合によって効果を最大化できる(ECとソーシャルの結合で顧客へのより深い洞察が可能になる)③ブランディングと販促の結合により、クローズサークルによるスムーズなユーザー体験が提供できるーーといった方法論を導き出せたと強調。

越境ECを検討している日本企業に対して、「日本のブランドを中国の消費者に知ってもらうためのお手伝いをしていきたい」と訴えかけ、降壇しました。

 

 

  

日本企業向けTencent広告 サービス概要と導入事例

 

続いて、アライドアーキテクツ企画事業室の番匠 達也 副室長が登壇し、Tencent社の広告メニューの具体的な活用方法を解説したほか、導入事例を紹介しました。 アライドアーキテクツは今年2月、国内企業としては初めて「Tencent Tui(テンセント・トゥイ)」の公式パートナー契約を締結。4月にはソーシャル広告サービス「Tencent Social Ads」「Weixin Ads」の販売契約も結びました。

 

アライドアーキテクツ株式会社 事業企画室 副室長 番匠 達也 氏

アライドアーキテクツ株式会社 事業企画室 副室長 番匠 達也 氏

 

 

■アライドアーキテクツが提供するTencent広告の一部

 

・Webポータルサイト「QQ.com」:バナー、テキストリンク広告など約200種の広告運用支援

・動画視聴サイト「騰訊視頻」:バナー、インストリーム広告の運用支援

・ニュースアプリ「騰訊新聞」:フィード、ストリーミング広告などの運用支援

・ニュースキュレーションアプリ「天天快报」:バナー、フィード広告などの運用支援

・チャットサービス「QQ」:バナー、フィード広告などの運用支援

・メッセンジャーアプリ「微信(Weixin/WeChat)」:バナー、フィード広告などの運用支援/公式アカウント開設

・運用支援、公式アカウント上の広告運用支援

 

「Tencent Tui」を通じて「QQ.com」「騰訊視頻」「騰訊新聞」「天天快报」などへの広告出稿が可能。「Tencent Japan」経由では「QQ」「微信」などへ出稿できる。

「Tencent Tui」を通じて「QQ.com」「騰訊視頻」「騰訊新聞」「天天快报」などへの広告出稿が可能。「Tencent Japan」経由では「QQ」「微信」などへ出稿できる。

 

番匠氏は、広告の活用方法として、「インバウンドを狙うのであれば訪日観光客向けのサイトへ誘導し、TmallやJD.worldwideなどに出店している企業であればECサイトへの誘導が効果的」と説明。また、アプリのダウンロード促進や、リアル店舗のキャンペーン情報を近隣ユーザーに配信することも可能だと説明しました。

そして、「Tencent Tui」の導入事例として、高級レストランに特化した予約サイトを運営する「ポケットコンシェルジュ」の取り組みを紹介しました。ポケットコンシェルジュはサービスの認知向上と問い合わせ獲得を狙い、ニュースアプリ「騰訊新聞」でインフィード広告を配信。簡体字のLPを作り、中国向けのバナーを使用しているそうです。

 

「騰訊新聞」から中国語のLPに誘導している

「騰訊新聞」から中国語のLPに誘導している

 

 

 

「すべてが進化!中国越境ECの最前線」物流とプロモーションの最新事例

 

セミナー第4部では、全日空傘下で国際配送サービスなどを手掛けるACDのメディアマーケティング部クリエイティブディレクター・玄 杰氏が登壇。中国向け越境ECのプロモーションや物流、税制などの最新動向を解説しました。

 

ACDのメディアマーケティング部クリエイティブディレクター・玄 杰氏

ACDのメディアマーケティング部クリエイティブディレクター・玄 杰氏

玄 杰氏は中国における①消費者意識の変化②越境ECの税制や通関制度③デジタル広告のトレンド④ECの最新手法——について次のように説明しました。

 

1.消費者意識の変化

中国の消費者は「価格より品質」を重視する傾向が強まっており、安いモノが最も売れる時代は終焉。「流行より個性」「モノより体験」も重視されるようになり、有名ブランドではなく「自分が好きなブランド」「信頼できる商品」に価値を見いだす消費者が増えた。今後は「個性化」「多様化」「カスタマイズ化」がキーワードになる。

 

2.税制や通関制度

近年、越境ECの保税区を整備して越境取引を促進している一方、新税制を導入し、不正通関を防ぐためのプラットフォームを作るなど、管理体制強化も進めている。例えば、「EC業者の注文情報」「物流会社の配送情報」「決済会社の支払い情報」を税関が把握し、情報が完全一致しなければB2C通関を許可しない新たな制度を構築している。

 

通関の管理体制を強化している。

通関の管理体制を強化している。

 

3.ネット広告のトレンド

中国ではSNSプロモーションや動画広告が活発化。中国版ツイッター「微博」のKOL(インフルエンサー)を起点に情報を拡散する手法や、中国国内で約9億人が利用するチャットアプリ「WeChat」の広告を活用した広告配信などが広がっている。

 

 クチコミを起点としたSNSプロモーションが活発化している。

クチコミを起点としたSNSプロモーションが活発化している。

 

4. 越境ECが急成長、ECの手法も進化

越境EC利用者は毎年、数千万人単位で増えており、2018年には7400万人に達する見込み。越境EC取引総額は右肩上がりが続いている。ECに動画生配信サービスを活用する動きが広がっている。

KOL(インフルエンサー)がライブ配信で商品をPRし、ユーザーはワンタップで商品購入ページなどに移動。チャットを使い、番組出演者やモール側がユーザーとやりとりしながら購買を促進する。

ECサイトや広告クリエイティブはリッチコンテンツ化が進行。モール側がリッチな商品ページを求める傾向も強まってきた。ECサイトにSNSを組み込んで購買促進や転換率アップにつなげる取り組みも活発化している。

 

越境ECの急成長が続いている

越境ECの急成長が続いている

 

こうしたトレンドを踏まえ、中国向け越境ECに取り組む日本企業は「差別化した商品」「税関や政策への対応」「リッチコンテンツの制作」「SNSによる拡散」が必要だと指摘。それらを満たすサービスとして、スムーズな通関や減税適用といったメリットがある国際配送サービス「全日空海淘」を紹介しました。

 

「全日空海淘」はACD、全日空、Tencent、KEB Hana Bankが提携して構築したサービス。Tencentのソーシャルプラットフォームを活用した広告でプロモーションを行い、決済はWeChatPayを使用。配送は全日空グループが手掛けています。

日本企業は国内倉庫に在庫を保管し、受注後に中国へ直送します。メリットとして①商品情報を事前に税関などに登録しておくことで、通関がスムーズに進む②増値税・消費税の30%減税が適用される③通関時に原産地証明書などを提出する必要がないーーことなどを挙げました。

2017年7月に中国向けの販売サイトを正式スタートすることも公表。「初期費用1万円、月額5000円からとコストが安く、プロモーションから配送までワンストップで越境ECサービスを提供していきたい」とサービスの趣旨を説明し、セミナーを締めくくりました。

 

全日空海淘のモデル

全日空海淘のモデル

 

 

 

当日は50人以上が参加した

当日は100名を超える企業担当者が出席

 

 ■取材・執筆
ライトプロ株式会社 渡部 和章

 

 


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