中国マーケティングラボ

中国70兆円市場の今と攻略のためのマーケティング基本知識とは?《「Schoo(スクー)」オンライン授業Web再現》

 

アライドアーキテクツ「中国マーケティングラボ(CNMLab)」編集長の藤田和重と、中国向けインフルエンサーマーケティング支援会社「Vstar Japan」の執行役員 チョウ・ビビアンが講師を務めた、中国インフルエンサーマーケティングについての「Schoo(スクー)」オンライン授業をWeb再現でご紹介します!

 

 

 

中国70兆円市場の今と攻略のためのマーケティング基本知識とは?《「Schoo(スクー)」オンライン授業Web再現》

(左)鈴木氏(中央)ビビアン(右)藤田

 

経済成長が著しい中国でソーシャルメディア・マーケティングが活発化しています。インターネット上のインフルエンサーが起点となり、SNSを通じて情報を拡散。ショッピング機能つきのSNSで商品が瞬く間に売れることも珍しくありません。

 

SNSとネットインフルエンサーの影響力は、企業のマーケティングやプロモーションの在り方も大きく変え始めました。中国でビジネスを手掛ける上で、必要なソーシャルメディア・マーケティングとはどのようなものでしょうか。

 

 

【講師】

藤田 和重
アライドアーキテクツ株式会社
SMMLab/CNMLab編集長 

 

趙 会娟(チョウ・ビビアン)
アライドアーキテクツ株式会社 中国SNSコンサルタント
Vstar Japan株式会社 執行役員
中日クチコミ代表理事

 

MC:鈴木 顕照 氏(株式会社スクー)

 

 

鈴木:

新シリーズ「70兆円市場の鍵を握るチャイニーズインフルエンサー」がスタートしました。まずは先生方の自己紹介からお願いします。

 

藤田:

アライドアーキテクツ株式会社の藤田です。弊社は2005年創業で、日本ではまだソーシャルメディアという言葉があまり知られていなかった頃から、口コミを使ったブロガーマーケティングなどSNS領域に特化したマーケティング支援事業を手がけてきました。

 

最近はグローバルな領域、特に中国プロモーションに力を入れています。中国に対しては、新浪公司グループのIMS社という現地企業と組んで、中国の広告配信システムを日本の企業様にご紹介するサービスなども手がけています。

 

そうした中で、中国のネットインフルエンサーを活用したプロモーション手法に注目し、その事業を推進するためにIMS社と合弁会社「Vstar Japan」を設立しました。

 

今日は私が中国マーケティングの基本的なことをお伝えしながら、「Vstar Japan」執行役員の趙 会娟(チョウ・ビビアン)に、リアルな中国人の感覚、中国人がなぜ日本の商品に魅力を感じるのかというようなところを聞いてみたいと思います。

 

趙:

「Vstar Japan」のチョウ・ビビアンと申します。日本に来て18年です。これまで日本の玩具メーカーで中国や東南アジアも含めた海外のマーケティングに携わり、その後、中国語圏向けインフルエンサーマーケティングの支援に取り組んできました。現在はアライドアーキテクツで中国SNSのコンサルティングと「Vstar Japan」の執行役員を務めています。

 

 

中国のマーケティングを学ぶ理由やメリット

 

鈴木:

それでは早速始めたいと思います。第1回のテーマは「中国マーケティングの基本」です。よろしくお願いします。

 

藤田:

今日のアジェンダは4つです。①中国のマーケティングを学ぶ理由②中国におけるソーシャルメディアの環境③中国人ネットユーザーの特徴や日本の若者との違い④効果的なSNSプロモーションのヒント ーーについて解説します。

 

まず中国のマーケティングを学ぶべき理由ですが、それはずばり「市場規模」です。中国の対日消費額はご覧の通り2014年から2018年の予想まで右肩上がりが続いていますね。「爆買い」という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、旅行消費だけでも4000億円から8000億円と伸びているんです。

 

そして「越境EC」、つまり中国の消費者がインターネットで日本の商品を購入する金額は2016年度に1兆円を超えました。

 

 

中国の対日消費額

 

 

鈴木:

1兆円、すごい数字ですよね。

 

藤田:

そうですね。最近、「中国人観光客の爆買いが収束した」という報道も目にしますが、今でも年間9000億円ぐらいあるんです。対日消費額は順調に伸びていて、2018年には3兆5000億円という大きな市場になる見通しです。

 

中国はここ数年、インターネットが急速に普及してきました。インターネット普及率は全人口13億人の約半分、7億3000万人ぐらいと言われています。7億3000万人でも十分すごい数だと思いますが、まだ人口の半分ですよ。インターネットは都市部から浸透し、ようやく農村の一部地域にも広がってきたという状況です。中国ではネット通販の伸びしろが、まだまだ大きいんです。

 

中国ではネットユーザーの約95%がモバイル利用者だと言われています。モバイルで情報を収集したり、SNSを使ってコミュニケーションしたりするユーザーがすごい勢いで増えているんです。こうした市場環境ですから、日本の企業は日本にいながら、インターネットを使って中国市場を攻めることができます。こそれが越境プロモーションのニーズが高まっている背景にあるのだと思います。

 

鈴木:

日本にいながら、この巨大なマーケットにアクセスできるんですね。そして、そのトレンドは成長中。

 

藤田:

はい。まだまだ始まったばかりです。中国人の越境ECの対日消費額は1兆円を超えて、対アメリカの消費額を抜きました。対日消費がすごく増えているんです。なぜこんなに日本の商品が買われているのか、私もわからないので、ビビアン教えてください。

 

趙:

中国人が日本の商品を買う理由は、時代とともに変わっています。例えば、10年前は中国には日本製品のような細かいニーズに対応した商品がなかったため、「日本からしか買えない」と言う理由で購入することが多かったと思います。

 

それから数年が経って、中国経済も発達してきて、中国の企業も自分たちで色々な商品を製造できるようになりました。しかし、その時代はまだ、商品の「安心安全」が不十分で、例えば乳児用のミルクの問題などが起きて、中国の消費者は中国製品を信用していませんでした。そのため、信頼感がある日本の製品を買っていました。

 

しかし、最近は日本製品を買う理由がまた変わってきています。今は「中国で買うよりも日本から買う方が安いから」という理由で日本製品を買う人が増えているんです。中国は富裕層が増えてきて、都市部では物価がどんどん上がっていますから。

 

藤田:

今は上海など都市部に行くと、東京のおしゃれな街を全部ミックスしたようなハイクオリティ、ハイラグジュアリーな感じになっています。物価が高くて、びっくりしちゃいますよ。

 

中国の変化のスピードがここ1〜2年、さらに加速している感じなんですよね。中国ではインターネットの高速回線とスマートフォンと、SNSの波が一気に来た感じです。日本は段階的に普及しましたが、中国は一気に来ました。

 

趙:

ただし中国は1級都市、2級都市、3級都市、農村部など地域によって所得格差が激しいです。例えば上海や北京、深圳などでは日本の商品を買うのが当たり前になってきていますが、2級都市や3級都市では事情が異なります。中国では地域に合わせたマーケティングが必要になるんです。


鈴木:

リスナーからコメントが来ています。「上海に来ました。3年前に来たときとかなり違っています」

 

藤田:

そうですね。日本だと3年前はそんなに変わらないですよね。でも上海では3年前と今じゃ全く違うとみなさん言いますね。

 

鈴木:

それではこのセクションのキーワードをお願いします。

 

藤田:

キーワードは「モバイル&SNS」です。インターネットの高速回線やスマートフォンの爆発的な普及によって、SNSユーザーの情報交換や、情報流通の場が出来上がってきていています。日本企業はそこに上手に入っていくことによって、日本にいながら中国の巨大マーケットをビジネスのターゲットにできますから、モバイルとSNSには注目していただきたいと思います。

 

 

 

中国におけるソーシャルメディアの環境

 

鈴木:

次は中国独自のソーシャルメディア環境について解説をお願いします。

 

藤田:

日本でソーシャルメディアと言えばFacebook、Twitter、LINE、Youtubeなどが思い浮かぶと思いますが、これらは中国政府の規制によって中国では全く使えません。

 

中国のITサービスは4つの企業グループに集約されつつあります。バイドゥ、アリババグループ、テンセント、そしてアリババグループが30%ぐらい出資しているシナグループ。

 

 

中国ITサービス企業グループ

 

 

「百度(バイドゥ)」は検索エンジンがメインです。アリババは「淘宝(タオバオ)」というECのモール、個人が個人向けに商品販売が出来るモールサービスから始った会社です。

 

テンセントはチャットが有名で、パソコンベースのメッセンジャー「QQ」や、8億人以上が使っている「WeChat(微信)」もあります。

 

そしてシナグループはSNS「Weibo(微博=ウェイボー)」を運営しています。「Weibo(微博=ウェイボー)」は中国版ツイッターみたいに言われていましたが、今はメディア的な要素を増やしています。長文を投稿できるようになりましたし、動画や生放送の専用アプリを作ってメディア化を進めている。結果的にTwitterとFacebookを併せ持つようなメディアに成長しつつあります。

 

趙:

トレンドとしては、今まで検索といえば「百度(バイドゥ)」が使われていましたが、最近はアリババグループの通販サイト「淘宝(タオバオ)」で直接検索する人も増えています。また、「Weibo(微博=ウェイボー)」も最近はだんだん検索エンジンとして使われることが増えていますね。

 

なぜこうなっているかというと、たくさんの商品が売られていたり、たくさんの投稿がアップされていたりするため、口コミをチェックするときに便利だからです。

 

「WeChat(微信)」は個人対個人のコミュニケーションに使います。LINEのような使い方ですね。

 

藤田:

中国SNSが情報流通のインフラ化していく中で、大きなトレンドが3つあります。

 

1つ目が「動画」。インターネットで動画を視聴する消費者が急増しています。中国の動画投稿サービスは「Youku(优酷)」や「愛奇芸(アイチーイー)」が有名です。

 

2つ目は「マイクロムービー」。尺が30秒から1分くらいの動画です。スマートフォンの普及に伴ってマイクロムービーの人気もどんどんアップしてきた。街中を歩きながらスマートフォン片手に見れちゃうってことが大きいんですね。

 

そして3つ目は「生配信」です。インターネット回線の高速化が進んでいることと、生配信アプリの普及によって大人気になっています。

 

中国は海賊版や違法アップロードが多いイメージをお持ちの方も多いと思うんですが、実はそこの部分の改善が進んでいて、「愛奇芸(アイチーイー)」というプラットフォームは基本的にクリエーターの著作権許可のあるものしか流さないんです。結果的に芸能人やアーティストが安心して自身の動画を公開できる環境が整ってきて、オフィシャル動画もすごく増えています。

 

去年は中国版の紅白と言われている年またぎの番組もネットで生放送されるなど、だんだんテレビのようなメジャー感のあるコンテンツもネットで見るという視聴習慣が広がってきています。

 

 

中国動画視聴習慣のトレンド

 

 

ビビアン:

「愛奇芸(アイチーイー)」や「Youku(优酷)」は版権への管理がすごく厳しくなってきています。オリジナルコンテンツや買い付けた海外ドラマなどの配信も増えています。

 

マイクロムービーはどちらかというとソーシャルメディア向け。WeChatやWeiboでパッと見ることができますし、シェアすることもできます。これがマイクロムービーの使い方。

 

生放送は去年、爆発的に人気になりました。生放送の使い方としては、インフルエンサーが商品を紹介しながら、視聴者からの質問にその場で答えるなど、直接会話できたりするのでエンゲージメントが高いツールになっています。

 

藤田:

中国SNSで流通しやすいコンテンツという意味で「動画」「マイクロムービー」「生配信」に注目です。コンテンツ自体の魅力も大事なんですが、誰が発信するかという「人」に注目が集まっていると感じます。口コミがすごく信頼される中国ならではと言えるのかもしれません。

 

 

 

中国ネットユーザーの特徴について

 

鈴木:

では次のテーマに行きましょう。「中国ネットユーザーの特徴」です。

 

藤田:

中国人はインターネットやSNSをよく使うと言っても、中国全土、あるいは全ての年代に当てはまるわけではありません。このスライドを見ていただくとわかる通り、10~30代あたりは結構多いですね。若い世代はネットで買い物するときSNSで情報収集します。

 

ネットで商品を買う理由は「自分が気に入ったかどうか」と「他人の口コミの評価がいいか」です。特に80年代から90年代生まれの若い人たちは消費意欲が旺盛なんです。お金持ってるんですね、ちょっといやらしい言い方ですけど。

 

趙:

若い世代の消費意欲が旺盛な理由は、生まれた時から経済がある程度発展していたということもありますし、一人っ子政策によって6人(両親と祖父母4人)のポケットからお金をもらえるということもあります。そうすると人生の楽しさを重視し、自分の趣味にお金を使うことが当たり前になっているんです。

 

 

中国ネットユーザーの特徴

 

 

 

藤田:

あまり我慢しない感じですね。もう1つすごく重要なポイントは、中国の若い人たちは常にスマートフォンを手に持っているじゃないですか。そして電子マネーがすごく流通していて、SNSのアカウントに紐づいた電子マネーを使ってスマートフォンで簡単に決済ができる。そのことがどんどんお金を使いやすくしているのだと思います。

 

「若者と電子マネー(若者✖電子マネー)」という切り口で、消費欲をくすぐるにはどんな仕掛けがなされているのかを研究してみると面白いんじゃないかと思っています。

 

 

 

中国SNSで効果的なプロモーションとは?

 

鈴木:

それでは最後のセクションに移りましょう。中国SNSで効果的なプロモーションについて、お願いします。

 

ビビアン:

爆買いが生まれる流れには、大きく分けると「物販系」と「情報系」があります。

 

まず「物販系」について説明します。小売りをやっている中国人の方々、バイヤーなど、そういった人たちが日本の商品を仕入れて中国のC to Cのネットショップで販売します。売れ行きによって口コミが拡散していき、C to Cのサイトが盛んになってきたらTモールやジンドンなどB to Cでも販売を始める。そうすると口コミの数がさらに増えて、検索エンジンにも引っかかるようになっていく。そして「この商品は人気ですよ」という口コミが広がった結果、最終的に中国人旅行客の消費に影響します。

 

一方で「情報系」とは何か。これはインフルエンサーが関係します。インフルエンサーは口コミを作る人たちです。最初の口コミの情報を作っている人たち。物販系とは逆のパターンになりますので、まず検索エンジンで口コミが広がって、B to Cのサイト、そしてC to Cという流れで爆買いが起こります。中国人は口コミを非常に重視するので、こうした流れが生まれるのです。

 

商品に関する情報や口コミがないと、「どうして私はここで買わないといけないの?」と考えます。よくわからない商品は買わないよね、ということです。越境ECをやる上では口コミが非常に大事です。じゃあ口コミの源をどうするか、それは次回の授業で解決します。

 

 

爆買い発生のメカニズム

 

 

藤田:

中国の消費者は「モノからコトへの変化」が確実に起こっていて、商品が良いか悪いかだけではなく、「その商品をどうやって手に入れるか」とか「誰からオススメされたか」とか、そういうことまでが全てサービス化していくという、すごく面白い状態になっているんです。

 

コンシェルジュみたいなサービスが全てスマホの中で行われています。良い情報を教えてくれた人に対して、あなたの情報はすごく素敵だったからお金を払いますということで、電子マネーで何百円か支払う。

 

中国のイメージが「爆買い」で止まってしまっていると、すごく勿体無いと思うんです。今はすごくエキサイティングな状況になっているので。ただ、変化も早いですから、ガイダンス役というか、現地の状況をよくわかっていて現地の消費者に合わせたマーケティングメッセージを発信してくれる人、つまりインフルエンサーみたいな人が必要なんじゃないかな、と思うんです。

 

次回は動画とか生放送を駆使して、SNSですごく強い影響力を持つ「網紅(ワンホン)」というネットインフルエンサーの存在を紹介したいと思います。

 

鈴木:ありがとうございました。今回の授業は「新シリーズ70兆円市場の鍵を握るチャイニーズインフルエンサー」の第1回目、「中国マーケティングの基本」をお届けしました。次回第2回「中国人インフルエンサー 『ワンホン』活用術」は6/16(金)19:00から生放送でお届けしますので、ぜひご覧ください!
 

※ご好評につき、第二回生放送開始前に、第一回の再放送が決定しました!第二回の放送前にこちらもぜひチェックしてみてください。
 

内容:『中国マーケティングのきほん(再放送)』
日程:2017年6月16日(金)18:00~19:00 
URL:https://schoo.jp/class/4024

 

【生放送】第二回放送予定はこちら!

70兆円市場の鍵を握る「チャイニーズインフルエンサー」

第2回「中国人インフルエンサー 『ワンホン』活用術」

日程:2017年6月16日(金)19:00~20:00

授業詳細 https://schoo.jp/class/4023

※生放送はオンライン動画学習サービス「Schoo(スクー)」の無料会員登録のみでご覧いただけます。

 

70兆円市場の鍵を握る「チャイニーズインフルエンサー」  第2回「中国人インフルエンサー 『ワンホン』活用術」

 

 

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