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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年7月号】

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年7月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!

今月も日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ最後までチェックしてください。

 

 

■シェアサイクル「ofo」、独自の信用スコアを運用

 

左_ofo独自の信用スコア&右_ofoの車両

左:ofo独自の信用スコア 右:ofoの車両

 

 黄色の車体で知られるシェアサイクルの「ofo」が、独自の信用スコアを運用する。ofo自身が構築した自社のビッグデータプラットフォーム「奇点」を利用して信用スコアを算出する。

 点数は270点からスタートし、月1で更新され、最高は600点まであがる。安全な乗車、故障車の通報などで点数があがるが、車両破壊や私物化をはじめ、虚偽の通報やロックのし忘れやルール違反の駐輪により点数が下がる。また各地の政府交通部門と提携することで、乗車マナーのチェックや、違反者の追跡を行うという。信用スコアが下がると利用できなくなるというペナルティがある。以前はアントフィナンシャル系の芝麻信用を信用スコアとして採用していたが、新しい信用スコアシステムは、よりシェアサイクル利用にあったものになるという。

 ofoは旧型車両で、解除キーが毎回固定のナンバーロックを採用することから、番号を覚えたうえで私有化する人が多く、12歳未満は乗車が禁じられていながら子供が乗り回している光景をよくみる。芝麻信用からofo独自の信用スコアを使うことで状況は改善するのか、またシェアサイクルに最適化した信用スコアがつくられたが、サービスに合わせた信用スコアが乱立するのは是か非か、今後動きがあるかもしれない。

 

 

 

■6月18日の京東と天猫のECセール合戦、EC以外をも巻き込む

 

天猫の618広告

天猫の618広告

 

 6月18日はECサイト大手「京東(JD、ジンドン)」の誕生記念でセールが行われる。この日に合わせて天猫(Tmall、ティエンマオ)や蘇寧優購(SUNING、スーニン)などの他のECサイトもセールを行った。11月11日の双十一ほどではないが、5月25日からスタートし、6月18日を頂点にその日まで開催された大きなECセールとなり、特に阿里巴巴(アリババ)の天猫と、阿里巴巴包囲網である京東や騰訊(テンセント)連合の対決が鮮明となった。今年の6月18日までの京東の累計の注文額は1592億元(約2兆7000億元)となり、昨年の1199元を大きく上回った。

 

618のサイト別売上。京東と天猫の一騎打ちに

618のサイト別売上。京東と天猫の一騎打ちに

 

 毎年より規模が大きくなるだけでなく、より新しさを提案するのが定番で、今年は阿里巴巴や騰訊が提携したり運営したりしているリアル店舗を活用し、ニューリテールを活用したものとなった。またEC以外のサービスを安く利用してもらおうと巻き込んだのも今年の新たな試みだ。

 

業界の垣根を越えた618キャンペーン

業界の垣根を越えた618キャンペーン

 

 

 

■モバイルデータ通信プランに変化、用途限定無料利用や「漫遊費」終了へ

 

 ネット企業と中国企業の提携によるお得なモバイルデータ料金プランが登場している。

 通信キャリアの中国聯通(チャイナユニコム)は、データ通信プランの騰訊大王ka(kaは上と下をあわせた文字)をリリースした。これは騰訊(テンセント)系のアプリ利用でのデータ通信や、ワールドカップ期間中は中央電視台のアプリでの(最高画質モードを除いた)動画のデータ通信について、データ通信料をカウントしない、つまり使い放題となるプランだ。これにより通信キャリアトップの中国移動(チャイナモバイル)の加入者を減らし、中国聯通の加入者を増やすことに成功した。

 

左_騰訊大王kaの広告&右_ワールドカップ時のサイト限定動画視聴使い放題プラン

左:騰訊大王kaの広告 右:ワールドカップ時のサイト限定動画視聴使い放題プラン

 

 キャリアの中国電信(チャイナテレコム)も、同様に大手ネット企業と提携したデータ通信プランをリリースした。中国移動も2社に遅れること6月、百度系のアプリの利用でのデータ通信料をカウントしないプランを発表した。キャリアの通信プランで巻き込んだ大手ネット企業のポータル競争が激しくなっていく。

 消費者にとってはデータ通信料が安くなるというありがたい話だ。データ通信料といえば、契約した省以外で発生する「漫遊費」という追加料金が、7月1日までに終了する。これにより電話代やデータ通信料が安くなり、消費者はより気軽にデータ通信を利用することになる。

 

 

 

■ビリビリと並ぶ2大日本サブカルサイト「AcFun」、ソーシャル動画サービス「快手」が買収

 

日本的サブカルコンテンツを配信する「AcFun」

日本的サブカルコンテンツを配信する「AcFun」

 

 Bilibili(ビリビリ)と並んでアニメや漫画などの日本的サブカルコンテンツを配信する「AcFun」を、人気ソーシャル動画サービスのひとつ「快手」が買収した。AcFunはAnime Comic Funの略で、中国で最も早くニコニコ動画同様の弾幕と呼ばれる動画へのコメント書き込み機能を実装した。中国の日本サブカルファンはビリビリとAcFunに集中し、固定ファンの熱量が多い反面、ニッチなジャンルであり、動画サービスは儲かるとは言い難い状態だっ

 ビリビリは2018年3月にNasdaq市場に上場したが、AcFunも快手が買収したことで、資金面に余裕ができたといえる。ビリビリは日本にスタジオを作ったり、中国人声優を採用した中国向けローカライズを迅速に行ったりするなど、コンテンツ作りの姿勢を見せているが、AcFunもそれに続くか注目だ。

 

 

 

■ECサイト「pin多多」が業態変換へ。違法製品を排除と発表

 

 ECサイトで上海尋夢信息技術の「pin多多(pinの字は手偏に并)」(2018年4月号の「ECサイト「pin多多」、一気にブレイクし第2のECアプリに」で紹介)は、低価格な商品路線が人気だが、その実は本物志向の天猫や京東などと比べ、ノンブランドの製品に加え、ニセモノや虚偽広告商品などが多いため安くなっている背景がある。加えてポルノ商品など販売が禁止されているはずの商品も販売されている。

 そうした中、pin多多は、こうした問題ある商品を排除し、出店者側に罰金や運用のための融資凍結を行うと発表。路線変更で、低価格できわどい商品の販売者と購入者の間で衝撃が走った。立ち上げて3年でグレーゾーンでのプラットフォーム成長し、淘宝・天猫・京東に続くサイトになった後の方向転換だ。果たして今後同サイトは生き残れるのか中国メディアは疑問視しているが、見方を変えればアリババが淘宝から天猫でのシフトの際にそうであったように、pin多多が良い商材を求めるタイミングである可能性もある。

 

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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