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中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年6月号】

中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!

 

中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年6月号】

 

変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!

日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。

 

 

■定番配車サービス「滴滴出行」で殺人事件。客がドライバーにより殺害

 

定番配車サービス「滴滴出行」で殺人事件。客がドライバーにより殺害

 

 5月5日、河南省鄭州で定番の配車サービス「滴滴出行」で登録した27歳のドライバーが、利用者である21歳の航空会社の客室乗務員(CA)に乱暴をした上、殺害した。5月8日に女性殺害が発見され、滴滴(企業)は、ドライバー発見に100万元(約1700万円)の懸賞金をかけ、力を入れていることをアピール。12日には自殺したドライバーが発見された。犯人のドライバーは父親の滴滴のアカウントで利用していたなど、システムに問題があった。そこで滴滴はサービスを一旦停止し、システムの緊急アップデートを行った。また中国政府交通部門も、こうした配車サービスを提供するための法律「計程車服務品質信誉考核方法」を改訂した。

 都市部のネットユーザーは誰でも使うサービスだったので話題となり、ネット業界ニュース以上に広く話題となった。また、ドライバーは「美人」「美少女」「声が素敵」などの依頼された客の印象や評価データをチェックしてから客選びをしていたと報じるメディアも。

 特に注目が集まったのはサービスの安全の問題と、ドライバーの素質の問題だった。中国の新サービスはスピーディーだが見切り発車的なところがあるが、殺人事件とともにシステムのアップデートが行われる結果となった。中国ではネットサービスの信頼性がしばしば問われるが、この事件もまたそれが問われた。

 

 

 

■嫌がらせか、微信(WeChat)からTik Tokへのリンクを禁じられる

 

5月18日の世界博物館日にあわせ、中国国家博物館など7博物館と提携したH5広告を出し、微信(WeChat)上で広告ページへのリンクを掲載

抖音の博物館キャンペーン

 

 中国で生まれ日本をはじめ世界で「Tik Tok」の名で人気となっている動画ソーシャルアプリ「抖音(ドウイン)」。抖音は当初、他の動画ソーシャルアプリと横並びかそれ以下の人気であったが、これまでの音楽と提携した「オシャレなイメージ」からさらにイメージの拡大を目指し、レストランや旅行や地域自慢を動画のお題として投げかけた。またオフラインでサービスを露出することで認知され、今年上半期に人気が上昇し、一気にナンバーワン動画ソーシャルアプリへとなった。抖音はまた5月18日の世界博物館日にあわせ、中国国家博物館など7博物館と提携したH5広告を出し、微信(WeChat)上で広告ページへのリンクを掲載した。ところがこれを微信側が2度にわたってシャットアウトされた。微信サイドの言い分としては、H5広告へのリンクを出すことは微信の外部リンクコンテンツ管理規範に違反するという一方、抖音は違反となるような行為は行っていないと反論した。

 

抖音の男女比

抖音の男女比

 

 中国メディアは微信VS抖音(WeChat VS Tik tok)の戦いと報道。メディアによっては、微信をリリースする騰訊による嫌がらせとも報じている。騰訊も動画ソーシャルアプリブームの中で自社製アプリ「微視」をリリースしたが、去年4月に一度サービスを終了し、今年の年初よりサービスを再スタートし、Tik Tokを非常に意識した機能を追加し、プッシュしている(騰訊の決算レポートでも微視を目立って扱っている)。

 

抖音のいいね!数がこの数か月で減っている

抖音のいいね!数がこの数か月で減っている

 

 

 

■各都市でのネット人材争奪戦がさらに激化

 

 ネット関連技術の高度人材を中心に各都市での人材獲得が加速している。北京や広州や深センといった都市もそうだが、そのあとに続く成都、西安、南京などの「二線都市」「三線都市」と呼ばれる規模の都市を中心に有能な人材を集めようとする動きが加速している。「人材獲得大戦」と呼ぶメディアも。

 今年の1月から5月までで沿岸部内陸部を問わず、35都市で高技能人材就職の優遇政策を発表している。優遇政策は多くの都市で、1~6万元(数十万~百万円程度)の住宅購入補助金、1か月1500元(約25000円)の住宅手当、1か月1000元(約17000円)の生活手当があてが割れる。この背景には、各都市のIT産業を中心とした産業の転換だけでなく、日本を下回る出生率による少子高齢化対策が主に挙げられる。

 メディア「電脳報」では天津の状況を挙げている。5月16日に天津で開催された「世界智能大会」が開催され、その際に副市長がAIやビッグデータなど高度人材を集めるプロジェクトを発表し、人が押し寄せた。特に天津から高速鉄道で40分の北京から大量に人が好条件を求めやってきて、その代行業者も加わり、届け出などを行う天津公安アプリが瞬間的に上位になったほか、サーバーが落ちたとしている。天津に吸い寄せられた理由として、戸籍がとれるだけでなく、将来の子供の入学資格や住宅購入資格が取れるなどの理由が挙げられる。

 

 

 

■動画ニュース「暴走漫画」、中国の”烈士”を馬鹿にしサービス停止

 

動画ニュース「暴走漫画」、中国の”烈士”を馬鹿にしサービス停止

 社会派風刺の一人漫才動画を配信する「暴走漫画」という人気サービスのコンテンツ内で、現中国政府の”烈士”を馬鹿にした表現を行った。見たユーザーの間で「5月1日よりはじまった法律『中国英雄烈士保護法』に違反するのではないか」といわれるようになり、その後暴走漫画の配信者が謝罪。後日17日に、北京市網信弁や北京市公安局など、同法での違法行為があったと発表した。この後、暴走漫画は過去のコンテンツも含むすべてのコンテンツを削除、サービス停止を発表した。今までも「暴走漫画」は何度か過激な発言をしてはサービスを一時停止していたが、今回の問題発生後は違法行為が原因なのか、いまだサービス停止を続けている。

 

 

 

■微信ミニプログラムのゲーム利用者、ライトユーザーを呼び込み大幅増

微信小程序の普及のきっかけとなった、キャラクターが落ちないように適度にジャンプさせる「跳一跳」

微信小程序の人気ゲーム「跳一跳」

 

 QuestMobileのレポート「微信遊戯報告」によると、2018年3月微信小程序(ウィーチャットのミニプログラム)ユーザーは5億6000万で、そのうち微信小程序のゲーム利用者はその81%にあたる4億5000万であることがわかった。微信ユーザーがそのときどきで話題となるゲームを話のネタに遊ぶことから、これまでのゲームユーザーよりも広くライトユーザーも触りだしていているという。

 

ボールを正しい方向に落とす「物理弾球」

アップされた即日に100万DAUを記録した「物理弾球」

 

 人気ゲームは、微信小程序の普及のきっかけとなった、キャラクターが落ちないように適度にジャンプさせる「跳一跳」(1億7000万DAU)ほか、ルーレットで遊ぶ「海盗来了」、オンライン対戦クイズゲームの「頭脳王者」、ボールを正しい方向に落とす「物理弾球」(アップされた即日に100万DAU)など、シンプルなものばかり。ただし人気ゲームが出るとすぐにそっくりにまねた海賊版タイトルが登場し、騰訊は管理しきれていないとしている。

 

 


中国ITライター 山谷剛史山谷剛史(Takeshi Yamaya)

フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。

https://about.me/yamayat


 

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