中国IT動向をキャッチアップ!月刊中国ネットニュースまとめ【2018年5月号】
中国在住ITライター山谷剛史さんが現地で集めたネット関連ニュースをまとめてお届けします!
変化の速い中国の状況を把握するために、ぜひチェックしておいていただきたい中国のインターネット関連ニュースを現地在住のITライター山谷剛史さんがまとめてご紹介します!
日本からはなかなかつかみきれないリアルな動向をまとめてキャッチアップ出来ますので、ぜひ毎月チェックしてください。
■ニューリテールの旗艦店、杭州や長沙などで開業
ニューリテールの代名詞的な「盒馬鮮生」
4月19日、アリババのお膝元である浙江省杭州で、アリババのニューリテールの旗艦店「親橙里」がオープンした。ここでは、アリババのスマートスピーカー「天猫精霊」の販売店や、実際に試着せず専用モニターに向き合うだけでバーチャル試着が可能なアパレルショップ「謎秀」、スマート製品を中心に扱うデジタル製品ショップ「宏図」、海鮮が食べられるキャッシュレススーパー「盒馬鮮生」などがテナントに入る。アリババの訴えるニューリテールの実験場のような最先端の店が集まるショッピングモールとなっている。
アリババのニューリテールの店ではQRコードを読んで商品情報を詳しく知ることができる
アリババのニューリテールの店では商品を専用端末にスキャンすることで
商品の詳細情報が見られる。
右はニューリテールの店舗で置かれる遊び心ある端末
また4月12日には、アリババと対峙するネット大手「騰訊(テンセント)」やECサイト大手「京東(ジンドン)」と、スーパーを運営する「歩歩高」集団が提携したニューリテールの旗艦店が湖南省長沙に登場した。顔認証も可能な電子決済による高速決済を実現し、ジンドンの配送ネットワーク「京東到家」により迅速に商品を配達するのが特徴だ。中国の販売小売チェーン14位の歩歩高は、さらにニューリテール対応店舗をテンセントや京東と提携し進めていく。
テンセントとジンドンはさらなる提携を4月17日に発表。ジンドンの会員体系・物流・金融システムと、テンセントのミニプログラムやウィーチャットペイやウィーチャット発のオフィシャルな情報発信「公衆号」を組み合わせた「京騰計画」のアップグレードを行うという。この「京騰計画」にはすでに300社が加入したという。
また家電大手の「蘇寧易購」は毎年4月18日にセールを行っているが、また蘇寧が展開する無人店でキャンペーンを実施。顔認証支払を体験したとし、ニューリテールの店舗が盛り上がったとしている。ちなみに今年は同日18時までの段階で前年同日比で156%増の売り上げを記録した。特に売上があがったのは、60インチ以上のモニターで312%増、食洗器が160%増などとなった。
ニューリテールの呼び声で、ネットと小売と運送が融合されるのは都市だけではない。アリババは五星控股集団と提携し、五星傘下の匯通達とともに農村でともにニューリテールを開拓していくと発表した。
まだまだ都市に1店舗あるかないかという状況で、日常にあるわけではないが、今後試行錯誤を繰り返しながら、ニューリテールを増やしていくだろう。
■スマートフォンは、ファーウェイ・OPPO・vivo・アップルの4強に
TrustdataとMobDataがそれぞれ2018年第1四半期における中国のスマートフォンの利用実態に関する調査結果を発表した。
Trustdataによると、「ファーウェイ」の19.7%(これとは別にHonorブランドが6.1%)がトップで、以下「OPPO(18.5%)」「vivo(17.0%)」「アップル(16.9%)」「サムスン(5.6%)」「小米(5.3%)」が続いた。Android搭載機限定で調査したMobDataによると、「ファーウェイ(18.5%)を筆頭に、「OPPO(17.6%)」「vivo(16.5%)」「サムスン(10.5%)」「小米(10.2%)」が続いた。いずれの調査結果でもこれより下のメーカーのシェアは各社とも3%以下となっている。つまりファーウェイ、OPPO、vivo、アップルの4強に、サムスンと小米が続く状況だ。
またMobdataによると、支持層に特徴のあるメーカーとしては、OPPOとvivoは、省の第2、第3の都市、ないしはそれより小さな都市で支持されてシェアを伸ばした。メーカーを問わず全体的には高価格なハイエンド製品の割合が高い中で、小米は低価格な機種が人気となる結果となった。またOPPOは女性に人気、ファーウェイや小米は男性に人気、年齢別ではは若い層にOPPOやvivoが、中高年にサムスンが人気という傾向となった。
Trustdataによると、大都市での利用者増加は落ち着く一方、小都市では利用者が減少しており、モバイルインターネット市場は飽和に近づいているとしている。
■人気の旅かえる、アリババが中国代理権を獲得
年末から突然スマートフォン向けアプリ「旅かえる」が人気となったが、アリババは4月1日、旅かえるの開発元のHit-Pointと提携し、阿里巴巴(アリババ)が中国でのライセンス業務を行うことになったと発表した。実際に中国でのライセンス業務を行うのは、阿里巴巴傘下でIP関連業務を阿里魚となる。
これにより5月9日より中国向けにローカライズされた旅かえるの正式中文版「旅行青蛙」がリリースされたがそれだけではない。1か月で26社とキャラクターグッズで提携し、ぬいぐるみ、デジタル製品、化粧品、ベビー用品、スマート製品などを販売することが決まり、淘宝網(タオバオ)などで発売されるという。また滴滴打車との提携などサービス面でのコラボレーションも続々と発表された。
淘宝網では人気ゆえにニセモノも混在して売られる事態となっているが、アリババグループがライセンスホルダーなのでニセモノも消していくことだろう。アリババと提携することで、中国で人気となったコンテンツが商品化され、サービスでのコラボができることを実証した一件といえる。
左:ファミリーマートのかえるまん
右:クレーンゲームでも旅かえるの正規品のぬいぐるみが増えていくだろう
■中国政府教育部、子供のスマホ利用をコントロールへ
中国政府教育部(省)は4月20日、小中学生のネット依存を抑えるための指導通知「教育部弁公庁関于做好預防中小学生沈迷網絡 教育引導工作的緊急通知」を発表した。通知では、「中毒になりやすいオンラインゲーム」「邪悪なアニメ」「不良小説」「オンライン賭博サイト」が小中学生の心身に影響を及ぼすと指摘した上で、関係部署対して健康なインターネット利用のための教育や指導や調査を行うよう指示するとともに、各家庭の保護者に対しても子供に対して健康的なインターネット利用をさせるよう促している。この通知の発表後、各自治体が同様の通知を発表している。
子供の家庭でのスマートフォンの利用ができなくなった家庭が出てきたのか、5月になり一部地域でスマートフォンを貸し出すインターネットカフェが登場し、子供が隠れて利用し始めたという報道も。「上に政策あれば下に対策あり」はこの法令でも。
■フォックスコン、工業インターネットのプラットフォーム「富士康雲」リリース
中国政府が工場でのIoT機器導入でスマート化を推し進め、2018年と2020年を目途に普及率を引き上げようとしている。そうした中、フォックスコン(富士康)は4月2日、中小企業向け工業インターネットプラットフォーム「富士康雲(フォックスコンクラウド)」を発表した。フォックスコンがハードウェアからプラットフォームまでリリースすることにより、工業向けスマート機器の導入のハードルが下がり、中国のモノづくりの現場でのスマート化が加速するだろう。
山谷剛史(Takeshi Yamaya)
フリーランスライター。
2002年より中国・アセアン諸国・インドのコンシューマーIT中心に、「ニュース+実体験」をもとにリアルな現地事情を執筆している。
連載は『中国トレンド通信(日経トレンディネット)』『ニーハオ!中国デジモノ(同)』『ミライチャイナ(ITMedia)』『アジアIT小話(ASCII.jp)』など多数。
著書は『中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)』など。
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